ユネスコ無形文化遺産にも登録された和食(日本食)。
日ごろ口にすることが多い和食ですが、和食を食べる際のマナーについてご存知でしょうか。
ひょっとすると、正しいと思っていたマナーが、じつは間違っているなんてこともあるかもしれません。
この記事では、和食を食べるときのテーブルマナーについて詳しくご紹介します。
和食の基本まとめ
和食(日本食)といえば、汁物や副菜などバランスのよさが特徴のひとつです。そんな日本料理には、代表的な形式がいくつか存在します。
ここでは、日本料理の代表的な形式と和食の基本である一汁三菜について、ご紹介していきます。
和食の形式について
和食の形式は、大きく「本膳料理」「会席料理」「懐石料理」の3種類に分けられます。それぞれの特徴ついて、順番にご紹介していきます。
本膳料理
本膳料理とは、室町時代に成立した、料理を一品ずつ膳にのせて出す形式のことです。近年の食卓では、膳にのせて料理を出すことはほとんどありませんが、もともとは、室町時代に武家がお客様に出していたおもてなし料理だったようです。
そんな本膳料理は本来、式三献(しきさんこん)と呼ばれる酒の部から始める儀式的要素が強い料理形式です。
会席料理
会席料理とは旅館やホテル、料亭といった場所のほかに、結婚式などの宴会時に提供される料理のことです。
結婚式や宴会の席といったおめでたい席では、お酒が提供されます。そのため、お酒との相性がよい刺身や煮物といった料理が多いです。
懐石料理
懐石料理とは、茶の湯でおもてなしをする料理のことです。お茶をいただく前に食べるのが、本来の懐石料理です。また、一般的に「一汁三菜」を基本に料理が組まれているのが特徴です。
一汁三菜(いちじゅうさんさい)とは
和食では、汁物1品、おかず3品のことを一汁三菜と言います。
一汁三菜は、主食に汁物とおかずを取り入れる献立です。家庭やお店によっては、漬物をプラスして組み合わせることもあります。一汁三菜は栄養もバランスよく取ることができ、和食の基本ともいわれています。
主食(白米など)
主食はご飯やパンといった、エネルギー源となる炭水化物です。和食となるため、白米が基本となります。玄米など白米以外にも栄養価の高い、ご飯を献立に取り入れる場合もあります。
汁物(味噌汁など)
汁物は名前のとおり、スープなど水分のある料理です。和食では、味噌汁やお吸い物がよく登場します。
主菜(三菜)
主菜(三菜)は、ご飯のメインとなるおかずです。肉や魚、卵といったタンパク質を摂取できるおかずが一般的です。
副菜(三菜)
主菜のようなメインのおかずではありませんが、煮物などのおかずメニューです。野菜や海藻といった、ミネラルやビタミンを摂取できます。
副々菜(三菜)
こちらも、副菜と同様に小松菜の和え物などちょっとしたおかずです。副菜では摂取しきれなかった、食物繊維や栄養素を考えたおかずが挙げられます。
正しい配膳について
和食には、一汁三菜という献立の基本があるとおり、食事の置き方にも決まりがあります。
主食は左手前に置き、汁物は右手前に置きます。主菜は右上に置き、煮物などの副菜は左上に置き、おひたしなど軽いおかずの副々菜は真ん中に置きます。
古来より日本は、左上位の考えが存在し、その考えの元に配膳のルールが決められました。
右大臣より左大臣の方が位が高いとされていたため、貴重とされていたお米が左上にくるようになったといわれています。
ぜひ家でもルールを意識して、配膳してみてくださいね。
食べる順番について
和食には、食べる順番の決まりもあります。ここでは、食べる順番についてご紹介していきます。
①汁物から食べる
汁物を1番はじめに食べるのが、和食のルールです。食卓で汁物を出された際には、はじめに食べるようにしましょう。
②次に主食を食べる
和食は一般的に、左から右へと食べます。汁物の次には、白米などの主食を食べましょう。
③さいごに副菜・副々菜を食べる
主食を食べたあとに、おかずを食べます。基本的に、和食は味の薄いものから食べるものとされています。
一汁三菜には三角食べと呼ばれる作法があり、(三角形のように)おかず、ごはん、汁物と、規則正しく順番に食べるルールがあります。
これは口内調味と呼ばれ、味の薄い食事でも交互に食べることで、口の中で味わいを楽しむことができるほか、バランスよく食事をいただくこともできます。
なお、あくまでも三角食べはバランスよく食べることが目的とされているため、順番を守れなくても問題ありません。
食べる順番だけじゃない、押さえておきたい手拭のマナー
和食は、食べるときの順番だけではなく、手拭マナーなど気をつけるべきことがあります。
懐紙(かいし)の使い方
あまり聞き馴染みのない言葉ですが、懐石料理の席などでは懐紙(かいし)と呼ばれるものがあります。
料理をいただく際に手を皿のように使う手皿はマナー違反なので、懐紙を受け皿として使います。また、口元をふいたり、お箸の先をふいたりと、壊紙はさまざまな場面で活躍してくれます。
おしぼりの使い方
おしぼりを使う際は、右手で持ち左手に持ち替えます。両手をふいたあとには、ふいた箇所を内側にしてたたみ、元あった場所に戻します。
おしぼりで顔や口をふいたり、机をふいたりする方がいますが、これらすべてはマナー違反です。おしぼりは手を拭くものであるため、その他の用途には使わないようにしましょう。
【関連記事】日本の礼儀作法とは?知っておきたいマナーについて
和食をいただく際に気をつけたい、マナー違反って?
和食をいただく際にはいくつか心がけたいマナーがありますが、基本的に最低限のマナーが守れていれば問題ないとされています。
しかし、中には特に気をつけたいものがいくつかあります。
①手をお皿代わりにしていけない
おかずをとった際に、汁やたれがこぼれそうになることがあります。しかし、こぼれそうだからといって、手をお皿のようにする「手皿」をしてはいけません。こぼれそうなときは、お皿を持ちましょう。
②小さいお皿は手に持つ
大きさによってはお皿を持つのはマナー違反とされていますが、小さいお皿は手に持ちましょう。手のひらに収まるサイズ感といわれています。
③食べ終わったのお椀のふたは裏返してはいけない
食べ終わったあとにお椀のふたを裏返しにする人もいますが、マナー違反となります。食べ終わってからは、元どおりふたをして戻してあげましょう。
④魚は裏返しにしてはいけない
一汁三菜と同じで、魚も左(頭)から右(尻尾)へと食べるのがルールです。上の部分を食べ終わったら、箸で骨を取り除きましょう。このときに魚を裏返しにするのはマナー違反となるため、やめましょう。
⑤食器を重ねる
食べ終わってから食器を重ねる人がいますが、これもじつはマナー違反。
重ねたことにより、食器にヒビが入ってしまったり、割れてしまったりすることがあります。そのため、どんなに親切心であったとしても、食器を重ねるのはやめましょう。
さいごに
この記事を通して、すこしでも和食のテーブルマナーについて知っていただけましたか?
今まで正しいと思っていたことが、じつはマナー違反かもしれません。この記事を通して、テーブルマナーを改めるきっかけになれば幸いです。
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