きっと多くの方が、一度は聞いたことがあるであろう「伝統工芸品」ですが、実はよく似たものに「伝統的工芸品」があることをご存知でしょうか。
この2つはよく似た言葉ですが、意味はそれぞれすこし異なります。
この記事では、どのような違いがあるのか、伝統的工芸品の定義や伝統工芸品の種類についてご紹介します。
日本が誇る伝統工芸品とは
伝統工芸品とは、現在まで長年受け継がれてきた、伝統的な技術・技法によって作られた工芸品のことです。
ここでは、どのような伝統工芸品があるのかご紹介します。
陶磁器
陶磁器とは土や石などを原料とし、こねて成形後、焼き上げたうつわのことです。お皿やマグカップ、花瓶などさまざまなものがある陶磁器には、大きく分けて陶器と磁器の2種類があります。
「土物」とも呼ばれる陶器は、土を原料として焼き上げるため、土特有なぬくもりがあります。
磁器はガラスにも使われる長石や珪石といった石を原料としているため、陶器より透明感のあるのが特徴です。
織物
織物とは、縦糸(たていと)と緯糸(よこいと)を交互に組み合わせて織っていく生地のことです。染め方や織りの種類によって、仕上がりもさまざまです。
金工品
金工品とは、金属を加工してできる加工品のことです。素材には金属のほかに、銀や銅なども用いられます。鋳型(いがた)と呼ばれる型に溶かした金属を流し込み、型を作る鋳金(ちゅうきん)を行います。その後、彫金と呼ばれるたがねを用いて、彫刻する技法を施します。鍋からフライパン、日本刀とさまざまな金工品があります。
漆器
漆器とは、うつわなどに漆を塗って仕上げた工芸品のことです。
そんな漆は、ウルシの木から採取した樹液から作られており、耐水性、抗菌作用が期待でき、耐久性にも優れています。
このような特徴から、お椀やお盆といった日用品などに幅広く用いられています。
田谷漆器店
拭漆 ミニベラ -全2色-
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伝統的工芸品との違いと条件とは
伝統的工芸品とは、「伝統的工芸品産業の振興に関する法律」に基づいて、経済産業大臣が指定した工芸品のことをいいます。
伝統的工芸品として認められるには、下記5つの項目をすべて満たして、伝統的工芸品産業の振興に関する法律(昭和49年法律第57号)に基づく経済産業大臣の指定を受けた工芸品のことをいいます。
令和5年10月26日時点で、241品目(種類)が伝統的工芸品に指定されています。
【伝統的工芸品と認められるのに必要な5つの要件】
- 主として日常生活の用に供されるものであること
- その製造過程の主要部分が手工業的であること
- 伝統的な技術又は技法により製造されたものであること
- 伝統的に使用されてきた原材料が主たる原材料として用いられ、製造されたものであること
- 一定の地域において少なくない数の者がその製造を行い、またはその製造に従事しているものであること
さらに、経済産業大臣が指定した技術・技法・原材料で制作され、産地検査に合格したものには、シンボルマークである伝統マークのデザインがあしらわれた「伝統証紙」を貼ることができます。
【出典元】伝統的工芸品のシンボルマークについて | 伝統的工芸品産業振興協会
はんなり
青萩 -ゆらぎ皿-
民芸品と伝統工芸品は同じ?
ここまでご紹介した2つのほかに、「民芸(民藝)品」と呼ばれるものがあります。この民芸品もまた、伝統工芸品と同様に日本が誇る工芸品の一種です。
この民芸品とは、日本を代表する思想家・柳宗悦が中心となって提唱した「民藝的工芸品」を略した言葉をいいます。
民芸品はもともと、「下手物(げてもの)」と呼ばれるような安物の品でした。しかし、柳宗悦と、宗悦の盟友だった濱田庄司や河井寛次郎らが、どんなに派手な装飾はなく、安いものであったとしても、下手物には「健康な美」「平常の美」があるとし、「民藝品」と呼ぶようになりました。
民芸品と工芸品には、用途と生産方法があります。
民芸品は、名もなき職人が日々の暮らしで使うものとして作る一方、工芸品は実用性は備えつつも、美術的な美しさを目的としているものが多いという違いがそれぞれあります。
地域によって特色も異なるため、旅行に行った際にその地域の工芸品を揃えてみるのも楽しいかもしれません。
NEKADO(ネカド)
ネクタイ -水郡 紺-
さいごに
近年では、日本のみならず海外からも親しまれてきている伝統工芸品。
日本には知らないだけで、まだまだたくさんの伝統工芸品が存在します。それらは現在に至るまで、職人の努力や繊細な手仕事によって受け継がれてきています。
お箸や食器、花瓶といった日用品などをお家に取り入れることで、手仕事のぬくもりを感じてみてくださいね。
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