4月8日は、花まつり(灌仏会/かんぶつえ)。お釈迦さまがお生まれになった4月8日を中心に行われ、祭りを否定する仏教で唯一、祭りといわれる行事です。花まつり当日は生誕を祝う法要が行われ、境内には花御堂(はなみどう)がつくられ、その中にお釈迦さまの誕生仏が安置されます。

参拝に来た人たちは、誕生仏の頭上に竹の杓(ひしゃく)で甘茶をかけてお祝いします。この甘茶を灌(そそ)ぐさまから、灌仏会(かんぶつえ)とも呼ばれています。

花まつりの歴史と由来

花まつりは、仏教を開かれたお釈迦さまの誕生日を祝う行事。
仏教であれば宗派を問わず、共通して4月8日にお祝いをします。インドや中国でも古くから行われ、日本では推古天皇の時代(606)に元興寺で初めて行われたと伝えられています。その後、奈良時代には大きなお寺に広まっていき、平安時代にはお寺の年中行事となっていきました。

やがて、明治時代になると浄土宗で「花まつり」と呼ばれるようになり、すべての宗派に浸透していくようになりました。

お釈迦さまの誕生にまつわるエピソード

お釈迦さまが誕生して間もなく、東西南北にそれぞれ7歩ずつ歩いて立ち止まり、右手で天を、そして左手で地を指差して「天上天下唯我独尊(てんじょうてんが、ゆいがどくそん)」と叫んだと伝えられています。

ちなみに、花まつりで見るお釈迦さまの像も、この瞬間を捉えたポーズをしています。

お釈迦さまが7歩歩かれたのは、なぜ?

なぜ、お釈迦さまは四方に7歩歩かれたのでしょうか。

これは、7という数字にヒントがあります。7とは、6プラス1。6というのは私たち人間が果てしなく苦しみつづけるという迷いの世界「六道(りくどう)」を意味します。その六道から離れる道を明らかにすることが仏教の目的であることから、それを「6プラス1歩」の7歩で表しています。

天上天下唯我独尊って、どういう意味?

それでは、お釈迦さまが唱えたという天上天下唯我独尊とはどのような意味で使われているのでしょうか。天上天下とは、「全世界・全宇宙」を指し、「」はお釈迦さまのことではなく、私たち人間のことをあらわしています。

そして「独尊」とは、たった一つの尊い使命ということ。このことから、天上天下唯我独尊とは、この大宇宙のすべての人々は、唯一無二の使命を果たすためにこの世へ生まれてきたということを指します。

お寺によっては、花祭りにあわせて行事をおこなうところもあります。イエス・キリストの生誕を祝うクリスマスと比べると、すこし馴染みのうすい行事かもしれません。ですがことしの春はぜひ、花まつりに参加してみてはどうでしょう。

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