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日本の伝統工芸品である「友禅染め」は、匠の技によって作られている染色技法です。

 

友禅染めが施された着物は、技法や産地の種類などによって、仕上がりや特徴も異なります。そんな友禅染めの歴史は古く、江戸時代から始まったといわれています。

 

今回は友禅染めの歴史・始まり、どのように発展していき、現代の模様が作られていったのかについて詳しくご紹介します。

 

江戸時代から始まった友禅染め

友禅染めには、「京友禅」「加賀友禅」「東京友禅(江戸友禅)」と呼ばれる三大友禅が存在しますが、そもそも友禅染めがどのようにしてできたのかをご存知でしょうか。

 

一目だけでは「布」「染織」といったイメージと結びつきにくいようですが、友禅染めの名は、人名からとられたものです。

 

その歴史は、江戸時代までさかのぼります。

江戸時代、宮崎友禅斎(本名:日置清親/ひおききよちか)という人物が京都で扇面の絵師として人気を博していました。とある呉服屋から彼に依頼があり、友禅斎が着物の小袖に描き染めたことが「友禅染め」の長い歴史のはじまりとなったといわれています。

当時の江戸では、贅沢を禁止するために奢侈禁止令(しゃしきんしれい)が発令されました。そのため、金彩を使った着物など、きらびやかなものを身にまとうことができませんでした。そのときに、金彩などを使わずに絵柄を施す友禅染めが注目されます。

 

布に直接描かれる友禅模様は、さまざまな模様やたくさんの色を実現し、当時の着物のデザインの幅を大きく広げた非常に画期的な発想でした。

このとき、友禅染めは色をたくさん使用するにあたり、隣り合う色が混ざってしまわないよう境目に糊(のり)で線を描く技法が用いられていました。

やがて人気が高まるにつれ、友禅斎の作った友禅染めの絵柄や技法が載った『友禅ひいなかた』『余情ひなかた』といった書物が出版されました。

 

文明開化の明治時代へ

明治時代に入ると、明治時代初期の文明開化によって友禅染めの技術はさらに発展していきます。これには、中興の祖である廣瀬治助翁(ひろせじすけ)が大きく貢献しました。

 

文明開化で取り入れられるようになった化学染料を使い、色糊が作られました。また、廣瀬治助翁は型紙を用いて友禅模様をかたどり、大量生産が可能な「型友禅」と呼ばれる技法を確立させました。

【関連記事】三大友禅の特徴と見分け方について

 

代表的な染色技法

友禅染めにはさまざまな技法が存在しますが、そのなかでも代表的な2つの技法についてご紹介します。

 

手描き染め

手描き染めは、古くから日本で伝わる伝統の染色技法です。その名のとおり、下絵から色をつける作業まですべてが職人の手作業で作られています。さらに、作業工程の数は多く、1つひとつの作業をそれぞれの職人が分業で担当しています。

色指しによっておきる、ぼかしやにじみなど作り手によって異なります。そのため、二つとない、手描き染めでしか味わうことができないのも魅力です。

 

型染め

型染めは、型紙を使って染める染色技法です。明治時代に廣瀬治助翁によって発明され、型染めによって大量生産が可能となりました。型染めは使われる色と同じ数の型紙が必要となるため、たとえば一枚の振袖に対して数十枚から数百枚もの数が用いられます。

 

友禅染めの発展「三大友禅」

友禅染めは宮崎友禅斎が京都で作り出されたものですが、それぞれの地域によって発展していきました。ここでは、「三大友禅」と呼ばれる京都の「京友禅」、石川県の金沢市の「加賀友禅」、東京の「東京手描友禅」についてそれぞれ紹介します。

 

京友禅

京友禅は友禅染め発祥の地京都で生産され、三大友禅のなかでも最も古いといわれています。

そんな京友禅は、手作業の工程が多く、完全分業制で作られているため、きらびやかで華やかな仕上がりが特徴です。

さらに、1976年には、経済産業省指定の伝統的工芸品に指定されています。

 

加賀友禅

加賀友禅は石川県金沢市を中心に作られており、その歴史は500年前までさかのぼります。当時から加賀では、「梅染」と呼ばれる技法が存在していました。のちに、宮崎友禅斎が京都から金沢にある御用紺屋棟取の「太郎田屋」に身を寄せた際に、当主の茂平と意気投合したといいます。これにより、それまで加賀でおこなわれていた加賀友禅をともに改善させたとされています。

 

加賀友禅は、加賀五彩と呼ばれる基本の5色(臙脂、藍、黄土、草、古代)のみで作られているのが特徴です。さらに、1975年には、経済産業省指定の伝統的工芸品に指定されています。

 

東京友禅(江戸友禅)

東京友禅は東京都が産地で、色合いも落ち着いており控えめな仕上がりが特徴です。東京友禅が広がったのは、1603年に徳川家康が江戸幕府を開設したのをきっかけといわれています。当時、大名お抱えの絵師や染め師といった職人たちが、京から江戸へ移り住むようになり技術が発展していったようです。

【関連記事】三大友禅の特徴と見分け方について

 

未来へと受け継ぐ

友禅染めの歴史はとても長く、その伝統は現在でも受け継がれています。

繊細で難しい技術にもかかわらず、幅広い模様から色を表現しています。それは、作り手の想いや匠の技があって成り立っています。その美しさや魅力は、実際に手に取ることでより実感することができます。

 

近年では、着物以外にも手ぬぐいといった、気軽に使えるものまででています。実際に友禅染めに触れ、染色技術や美しさを感じてください。


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日本の伝統工芸品のひとつである、「友禅」。

 

そんな友禅には、京友禅、加賀友禅、東京友禅の三大友禅と呼ばれる代表的な友禅があります。産地が異なるため、それぞれの特徴、作業工程や使われる色も変わってきます。

しかし、三大友禅と言っても判別するのが難しいもの。

そこで今回は、三大友禅の特徴からそれぞれの違い、見分け方について詳しくご紹介します。

 

友禅の歴史

そもそも友禅とは、伝統的な着物を染める方法である「友禅染め」を略した言い方です。そして、友禅染めを施した着物のことを「友禅着物」と言います。

 

日本の伝統的な染色技法として知られる友禅染は、数百年もの歴史があり、江戸時代まで遡り、京都の扇面絵師・宮崎友禅斎によって考案されました。

そんな友禅染めは、手描きで染め上げる「手描友禅」と、型紙を用いて染める「型友禅」の2種類に分られます。

 

もともとはすべて手書きで行う手描き友禅が主流でしたが、明治時代になるとヨーロッパから合成染料が入ってきたことで型紙を用いた型友禅が誕生し、量産が可能になりました。

【関連記事】友禅の歴史

 

三大友禅の主な違い

友禅は布地を染める染色技法ですが、そのなかにもいくつか種類が存在します。

ここでは、代表的な三大友禅についてご紹介します。

京友禅

日本を代表する染色工芸で、経済産業省指定伝統的工芸品である京友禅。

 

平安時代の貴族文化の影響を受けている京友禅は、有職文様や四季の花鳥を染めたものが多く、刺繍や金箔を用いた華麗な絵模様が特色です。

描かれる文様はさまざまですが、有職文様(ゆうそくもんよう)や御所解模様(ごしょどきもよう)のような公家や宮中に関連した、繊細にパターン化された伝統的な図案が使用されることが多いのも特徴です。仕上げには刺繡や金箔も用いられ、きらびやかな雰囲気をもちます。

 

また、模様の中心が濃く、外に向かって淡くぼかしていくという技法を用いることで生まれるグラデーションが、より優美で華やかな印象を与えます。

 

なお、京友禅は完成までの数多くの工程がすべて分業制で行われ、それぞれの工程を専門の職人が担当して作られています。

 

加賀友禅

加賀友禅とは、加賀五彩と呼ばれる基本の5色(臙脂、藍、黄土、草、古代)のみで作られているのが特徴です。

色を挿す以外に刺繍や金箔などはほとんど用いられず、全体としてやや落ち着いた色合いが特徴です。また、この色挿しは基本的に作家ひとりで行われます。

 

文様は細部まで描き込まれた、写実的な動植物が代表的です。草花などに色を施す際、外側を濃い色、内側を薄い色とグラデーションにする外ぼかしの技術によって、上品な印象に仕上がります。小花が散り、草は虫食い葉を染色で表現するなど、豊かな北陸の自然を連想させます。

 

東京友禅(江戸友禅)

東京友禅とは、図案や色合いが比較的あっさりと控えめな雰囲気です。

 

格式ある意匠が用いられていても、派手に目立たせるというより、そのモチーフが際立つよう余白も活かされているようなデザインがしばしばみられます。絢爛な文様の東京友禅も存在しており、刺繍や金箔も用いられるものの、どちらかというと模様を補助する役割をもつことが多いようです。

 

染める過程で使用される糊が、もち米を原料とした真糊(まのり)を使用しているものが上質な東京友禅とされています。

【関連記事】「鶴見染飾工芸」加賀友禅作家 鶴見晋史(つるみ・くにちか)さん

 

違いを見分けるのは難しい?

友禅にはそれぞれの特徴がありますが、現在ではどの友禅なのか判別することは難しいとされているようです。その理由は、大きく2点挙げられます。

 

安価で手に入る

近年では、友禅を模したデザインがインクジェットプリントされ、従来より安価に手に入る着物やアイテムが非常に多く流通しています。そのため、友禅の技術が実際に用いられたものを目にする機会自体が減っているのが現状です。

 

本物の友禅をそこまで見慣れていない場合、友禅そのものの違いを見分けることは難しくて当然といえるでしょう。

 

作家独自の技法

友禅作家が用いる技法は、三大友禅のそれぞれの枠を超えて特色が融合している場合があります。

京友禅の作家でも、すべての工程を分業せずにひとりで行う方もいれば、描く文様や技法は加賀友禅の特色をもっていても工房は京都にあるという作家もいます。

なお、このような友禅は「京加賀友禅」と位置付けられることもあるようです。

 

ですが、各地の友禅の特色をそのままに守り続けている工房や作家も存在します。

さらにそうした各地の友禅を学び、それをさまざまなものづくりに活かしていこうとする作家やデザイナーも数多く、日本の文化が思いがけないところにも息づいていることを感じさせます。

 

歴史ある伝統工芸品

三大友禅の種類と特徴について説明してきましたが、いかがでしたか。

 

近年では、プリントされたデザインが多く出回っています。デザインが豊富なうえに、安価で手に入れられるというメリットもあります。しかし、職人さんが1つひとつ丁寧に作っているのも手仕事からしか感じられない、ぬくもりや職人技がそこにはあります。

 

着物や帯などが難しい場合は、ネクタイやハンカチなど、気軽に手に入れられるものから手に取ってみてはいかがでしょうか。

 


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みなさんは和紙と聞くと、どんなものを思い浮かべますか?

障子、ふすま、屏風…、様々なものに形を変え、日本の風情ある空間づくりを担う和紙。

その独特な質感と柔らかさが醸し出す雰囲気に魅了される人は数知れないでしょう。

 

和紙の歴史と作り方

Kotobuki
一輪すずらんのシンプルアメリカンピアス

そんな和紙を語る上で欠かせない紙の始まりは、公文書の作成や写経だそう。

702年(大宝2年)に美濃、筑前、豊前で漉かれた戸籍用紙は、日本最古の紙として現在も正倉院に保管されています。

和紙は、クワ科の楮(こうぞ)という強い繊維を原料に、清涼な川水に浸し、粘液を入れ、竹の簀(す)で漉き流したものを、乾燥させて作られます。

その紙を漉く際に用いられるのが「流し漉き」と呼ばれる技法。この日本特有の技法を用いて漉き上げた和紙は、繊維が絡み合い、簡単に破けることのない強度を生み出します。

洋紙は100年ほどで劣化してしまいますが、時間と手間をかけて作られる和紙は1000年以上保存できると言われています。

 

ユネスコ無形文化遺産に登録された理由

自遊花人
香袋 -蘇芳(すおう)-

2014年には、日本の手漉き和紙の技術がユネスコ無形文化遺産に登録されました。

登録されたのは、原料に楮のみを使用する細川紙(埼玉県)、本美濃紙(岐阜県)、石州半紙(島根県)の3つ。(※2009年登録の石州半紙に続き、国指定重要無形文化財である本美濃紙、細川紙が追加、拡張登録されました。)

その伝統的な技術に加え、

・和紙職人が世代を超えて技術と知識を継承し、地元の人々のアイデンティティを育んでいること

・後継者の育成や展示、学校での体験事業が計画されていること

など、地域を挙げて和紙の技術と文化を守っていこうとする姿勢も評価に繋がりました。

 

岐阜県美濃市の取り組み

ユネスコ登録後、岐阜県美濃市では和紙の保存・継承、地域活性化を目指す「千年プロジェクト」が発足しました。

美濃・和紙基礎スクールの開催や楮の高品質化研究、さらには新商品の開発や東京五輪での和紙使用の働きかけなど、1000年後にも伝統技術を伝えていく取り組みが計画されています。

 

世界でも評価される、奥の深い世界

Kotobuki
和紙 折り紙の紫陽花のピアス

世界に認められた日本の和紙とその技術。まさに日本を代表する伝統技術と言っても過言ではありませんよね。

 

 


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9月1日(金)から18日(月・祝)まで開催しておりました、大宮マルイでの「敬老の日フェア」は無事終了いたしました。

足を運んでくださった皆さま、本当にありがとうございました。

今回の大宮マルイでの催事では、「敬老の日ギフト」を中心に様々なアイテムを揃えさせていただきました。
やわらかい色使いの工房織座 ボタニカルストールや、KOSHOのトートバッグがギフトにとても人気でした。

また、出来立てほやほやの「サンユー  鯖江 バングルウォッチ」も今回の出店から販売スタートしました!
壱ポイント オンラインサイトへのアップも完了しましたので、ぜひお好きな組み合わせでお買い求めいただけたらと思っております♪
さらに、今回の大宮マルイ出店から「壱ポイント ポイントカード/メンバーズカード」の発行をはじめました。
ポイントカード/メンバーズカードをお持ちの方は、オンラインサイトでのお買い物の際、いつでも3%(メンバーズカードの方は5%)OFFでお買い求めいただけます。

ぜひこの機会に、壱ポイント オンラインサイトでのお買い物をお楽しみくださいませ。

 

6月20日から26日の1週間、西武渋谷で開催しておりました伝統工芸品和雑貨フェアは無事終了いたしました。

 

今回は、時計ブランド・ICETEKさんとのコラボ出店という形で出店させていただきました。

NEKADOネクタイKOSHOトートバッグが大好評で、たくさんの方に手に取っていただき、匠の技に触れていただけたことがとても嬉しかったです。

 

サイトへの伝統工芸品和雑貨の新商品アップも随時行っていきますので、みなさんお楽しみに!

また、7月18日からはマルイファミリー溝口店への出店も予定しております。

みなさんのお越しを心よりお待ちしております♪

 

     

     

 

7月18日(火)から8月2日(水)までの開催しておりました、溝口での「伝統工芸品和雑貨フェア」は無事終了いたしました。

 

夏本番に突入!ということで、見た目も涼しい津軽びいどろの盃や一輪挿しをはじめ、KOSHOの瑠璃色を使った爽やかな配色のトートバッグ、TSUNEの様々な「ブルー」を表現した”たわみボウル”など夏を連想させる商品がとても人気でした。

 

今回で2度目の出店となったマルイファミリー溝口では、ご購入してくださった方々の中にも前回の出店を覚えていてくださり、また足を運んでくださった方が大勢いらっしゃったことがとても嬉しかったです。

 

催事の際お配りしていたポストカードのwebクーポンコードを使用すると、オンラインショップでのみ5%OFFでご購入いただけます。

ぜひこの機会に、「壱ポイント オンラインセレクトショップ」をご利用くださいませ。

 

 

4月27日から5月14日までの期間開催しておりました、柏マルイでの伝統工芸品和雑貨フェアは終了いたしました。

 

今回は最終日が母の日ということで、母の日のギフトにぴったりの伝統工芸品和雑貨をご紹介させていただきました。

津軽びいどろ一輪挿し工房織座ストールKOSHOバッグなどが人気でした!

また、柏マルイから登場した新商品は随時オンラインショップにてアップしていきますので、

ぜひチェックしてみてください♪

新宿マルイ本館/アネックスで開催しておりました伝統工芸品和雑貨フェアは、無事終了いたしました。

 

今回津軽びいどろの箸置きや、京都のおはこや(金平糖)など今まで扱っていないギフト
多数ご紹介させていただき、大変好評でした!

 

2店舗同時開催という初の試みでしたが、少しでも多くの方に、
壱ポイントで扱っている伝統工芸品和雑貨ギフトの魅力が伝わればと思います。

 

今後も催事の予定がございますので、今回来られなかった方は
ぜひ次回の催事にお越しください!

 

            

 

            

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左から)(株)福富 専務取締役・福富欽也さん、松井機業・松井紀子さん、壱ポイント・田崎拓己、鶴見染飾工芸・鶴見晋史さん北陶・飯田倫久さんが一堂に会しました

日本の匠にクリエイティブの源に迫るインタビュー特集『匠の道』。

第4回からは北陸新幹線の開業1周年を記念した北陸特集として、金沢の陶作家・飯田倫久さん、富山県は城端で機業を営む松井紀子さん、そして金沢で加賀友禅を手がける鶴見晋史さんという3名のアトリエを訪れました。そして、それぞれが家業を継ごうと決意した時のことを起点に、どのように自分なりの道を見つけることができて、そこに喜びを感じられるようになったのか。そうしたお話を聞いてきました。

第7回に当たる今回は北陸特集の総集編として、この皆さんに集まってもらい、ひとつのテーマについて語ってもらいます。実はこの3名、無作為に選ばれた訳ではなく、と或るプロダクトを形にすることを目的に集結した方々だったのです。

それは扇子(せんす)でした。創業290年の歴史を持つ扇子専門店「白竹堂」の京扇子をベースにしながら、扇面の素材には松井機業の「しけ絹」を用い、その上から陶作家の飯田倫久さんがデザインした絵柄を、加賀友禅作家の鶴見さんが描き下ろすという、まさに夢のような至極の逸品が作り上げられていたのです。しかも今回、壱ポイントのためだけのコラボ扇子を手がけてもらうことが実現しました。

シルクの清涼感ある風合いに、<a href=

この発起人となったのは、糸の卸売りを手がける(株)福富の専務取締役、福富欽也さん。今回は福富さんにも参加してもらいながら、皆さんにコラボ扇子の誕生秘話をたっぷりと語ってもらいましょう!

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地元の伝統産業と物作りを

 

——本日は皆さん、お集まり頂きありがとうございます。まず初めに、発起人である福富さんに質問です。今回のコラボ扇子はどんなきっかけから生まれたのでしょうか。

福富欽也「最初はぼくと飯田さんの2人で始めたプロジェクトだったんです。もう7、8年前の話ですが、アパレル向けにストールのデザインと製造を手がけた。そこから次のステップを模索したとき、地元の伝統産業との接点がなかったので、そういったものと接点する物作りをやってみたいと思ったんです。それで飯田さんから……」

飯田倫久「センスある素晴らしい鶴見晋史さんを紹介したのが(笑)、3年前のこと」

——そのときに手がけたのもストールだったのでしょうか?

鶴見晋史「いや、僕のところに声がかかったときは扇子やったんな」

福富「そう、扇子でした。繊細な扇子に〝ぼかし〟を入れたりするとなると、鶴見さんがうまいよと紹介して頂いた」

今回のコラボ<a href=

——なぜ、他でもない扇子だったのでしょう?

福富「先ほど説明しましたように、まずストールを作りましたよね。それを伊勢丹メンズさんでも展開して頂いた。そのとき、ストールだけでなく、例えば友禅の扇子が作れたらおもしろいねという話になったんです。それで扇子メーカーの白竹堂さんは先方に繋いで頂いて、私たちの方では職人さんを集めようという流れになった」

 

〝しけ絹〟製の名刺が縁を繋いだ

 

——なるほど、そうして飯田さんから鶴見さんを紹介してもらったのですね。松井さんはどのようなきっかけで?

福富「松井さんとの繋がりには、ストーリーがあるんです。ストールの生地を探していたとき、東京の(株)シオンテックの菱川恵佑社長から3社を教えて頂いた。そのひとつが松井さんのところだった。で、松井さんの名刺に〝富山県南砺市城端〟と書いてあることに気づいて。城端というと、金沢のすぐ隣り。〝しけ絹〟で仕上げられた松井さんの名刺もインパクトがあって、コレだ!と響いた。それですぐに連絡して会ったんです」

——その出会いから、今回のコラボ扇子に発展していったと。しけ絹が縁を繋いだ。

「はい。今回の扇子にしても、予め用意された生地を使うのもいいけれど、せっかくやるんであれば、地元の生地を使いたい。それで、ストールのときに使った生地、つまりはしけ絹で扇子も作れないかと松井さんに相談したんです」

——福富さんから扇子の提案を受けたとき、皆さんはどんなことを思いましたか?

松井さん「私の場合、こういう機会って、実はなかなかないんです。というのも、金沢の方は富山の人から頼まれると困られるようで(笑)」

一同「(笑)」

「匠の道」第5回でお話を伺った<a href=

松井「そこに福富さんが入って頂いたことで、こんなにも素晴らしい作家さんたちとコラボさせて頂けた。富山県民の私としては、ありがとうございますの一言。扇子のことでいうと、うちは透ける素材というか、薄地のものが得意。それに、変わった扇子が欲しいというマダムがお得意様のなかにもいらっしゃった。それだけに、やってみたいという気持ちは以前からありました」

福富「これが地元でやれなかったら、もったいないなと思ったんです。というのも、うちから松井さんのところまでは車で40分。そんな近くに、これだけの生地を持っている会社があるなんて知らなかった」

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鶴見「加賀友禅の歴史を振り返っても、城端は大切な場所。かつては五箇山で育てた蚕の糸を使って、それを城端で織る。そうしてできた生地を加賀友禅で使っていた時代があったらしいですからね」

福富「しけ絹の扇子は今年、壱ポイントさんとやっていこうというアイディアのもの。扇子の生地選びで難しいのは、いかに風圧を生みだすか。扇子は暑いから仰ぐもの。この風圧の加減においても、しけ絹は優秀な素材だと分かりました」

 

ぼかしに見る日本の情景

 

——城端と加賀友禅には意外な接点があったのですね。それでは飯田さんと鶴見さんに質問です。今回、コラボ扇子のデザインはお二人によって進められたと思います。具体的にどのような進め方をされ、過程においてどんなことを思い、デザインにどんな思いを込めたのでしょう?

「匠の道」北陸特集の第1回に登場した陶芸作家の飯田倫久さん。今回のコラボ<a href=

飯田「僕が扇子のあらゆる面をデザインしたという訳ではなくて。当然のことながら、仙骨は白竹堂がプロフェッショナル。そこはお任せして、僕は鶴見さんとのあいだで、色や絵柄をどんなものにするかを話し合う役割を担いました。今回はお月さんを感じさせる〝ぼかし〟を入れてもらうことにして。こういったグラデーションは侘び寂びに通ずるところもあると思うんです。満月がくっきり見える日よりも、霞みがかって、ちょっと欠けたところに、僕たちは日本の儚い情景を感じる」

鶴見「僕の場合、いつもの加賀友禅で自分でやる分には、自分にとって塗りやすい色、例えば淡い色でしか染めない。でも今回みたいに、飯田さんからこんな風な色にしてという要望があると、最初はエッ?とも思ったけれど、いざ塗ってみると、こういうのもきれいだなとか。一緒にやってみることで、普段とは異なる色に触れられたのはおもしろかったですね」

飯田「今回の扇子においては、着物を着る方だけを想定している訳ではなくて。よりアパレルの目線から意識をしていきました。例えば、普段着ではどういうものが流行っていて、それに合う色はなんやろとか。いまの時代なら、どんな色が表現として出せるのかとか。今回の始まりこそ、メンズに向けた扇子を、というコンセプトでしたけど、最終的には老若男女が気軽に楽しめる普遍的なものに仕上がったんじゃないかと思います」

——絵柄はなにを表わしているのでしょうか。

飯田「黄昏に雲。ライトグレーか白のラインで仕上げてあります」

松井「仕上がりを見て私が感じたのは、昔から南砺には龍が現われると言われていて、まさにそれだなと」

飯田「グラデーションというのは、人によって想像するものが異なる。そこが面白いですよね」

 

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——扇子を開いたときだけでなく、閉じたときの表情もまた美しい。

飯田「扇子は一般的に仰ぐために使うものだけれど、お茶の席では扇子は閉じ、自分の膝前に置く。つまり使うときだけ綺麗なだけでなく、閉じたときも美しくあるべきで、これはその点でもクリアしたのではないかと思います」

——ある種、突き詰めた芸術に値するものを日常生活に取り入れるのには、ちょっとした戸惑いすら感じてしまいそうですが。

飯田「確かに、これを海外に発注してとかではなく、日本の文化と技術が詰まった土地で、幾人もの職人が力を合わせた一品。土地、文化、技術が詰まった、いわば総合芸術のひとつでもあると思います。でも大切なのは、それを使って初めて作品になるということ。工芸品というのは眺めるだけでなく、手にとって使ってこそ価値があるんです」

 

この扇子から北陸の風を感じてほしい

北陸の第一線を切り開かんとする貴重な面々との座談会に、壱ポイント・田崎からの質問にも熱が入ります
北陸の第一線を切り開かんとする貴重な面々との座談会に、壱ポイント・田崎からの質問にも熱が入ります

——これまでにない夢のコラボで革新的なものを生み出してなお、そこに歴史や伝統が浮かび上がるのは素晴らしいことですね。やはり金沢や城端といった土地で生活を営み、感性を磨くことが大切なのでしょうか?

飯田「ぼくは土地というより、環境が大切だと思っています。たぶん城端で糸を作っておられるのは、目には見えないけれど、その糸の中に富山の文化や空気が込められているからで。だから生み出せる。場所が変わったらできない気がしますね」

松井「同感です。私、いま北陸限定のストールとかを作ってるんですけど、敢えて東京や他に持っていかないのは、もちろん私にそこまでの力がないのもあるんですけど、城端までお越し頂いて、私たちの世界観を感じてもらいたいから。うちだけじゃなく、周りも回ってもらいたいですし、なにかを持ち帰ったあとも、その空気感を思い出として感じ続けてもらいたい」

飯田「それは、何百年という長い年月をかけて作られてきた環境ですよね。その時々で流行っているものに左右されるものではなく。例えば自宅に帰れば、玄関には九谷焼の花生けが置かれている。メシを食おうと言えば、手作りのお茶碗と山中塗りの器といった伝統工芸品が、当たり前のように食卓に載っている。当たり前に良いものに接して育ってきた環境はかけがえのないものだと思います」

松井「おうちは三代で出来上がる。建築の棟梁がそう仰っていました。100年掛かりで築き上げられるおうちが、北陸にはある。木を育てて、その木で作るとか。お寺にしても地域の集合芸術。目に見えない歴史がいつの間にか触れられるのは強みかもしれませんね」

飯田「この扇子を仰いだとき、北陸の風を感じてくださいってことやな」

 

北陸の第一線作家たちによる珠玉のひと品「Ka福(かぶく)」は、壱ポイントでの取り扱いを開始しております。父の日の贈り物にもぴったり。さあ、仰げば北陸の風を巻き起こす扇子で、今年の猛暑を爽やかに乗り過ごしましょう。

 

Ka福(かぶく) 扇子

日本が誇る伝統産業「加賀友禅」「京扇子」「城端絹織物」がコラボレーションして作られた扇子です。それぞれの地域を代表する伝統産業が持つ「技」を「扇子」として形ある物に仕上げました。

独特の張りと自然が生み出すシルクの清涼感ある風合いの城端絹織物。それに加賀友禅作家の鶴見晋史氏の美しい染め技術が加わり、老舗の京扇子メーカーにて、丁寧に仕上げております。扇子の骨(扇骨)にも国産の竹を使用し、職人が一本一本手作業で仕上げた、こだわりの逸品です。

素材:絹(扇面)、竹(扇骨) サイズ:長さ約220mm 色:ネイビーブルー



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ネイビーブルー


Ka福(かぶく) 扇子 グレーサックス
グレーサックス


Ka福(かぶく) 扇子 オレンジゴールド
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福富欽也
(株)福富 専務取締役。1971年、石川県金沢市出身。1991年、地元の繊維産元商社 一村産業(株)へ入社。2000年、株式会社 福富に入社。

株式会社福富
昭和26年 福富商店として創業。平成元年に当社設立。企画販売した「金沢 nature dying友禅ストール」は平成24年度 石川ブランドに認定された。

 

鶴見晋史
金沢「鶴見染飾工芸」2代目加賀友禅作家。1969年、加賀友禅作家 鶴見保次の長男として生まれる。日本工芸会正会員・坂井教人氏に師事、東京友禅を学ぶ。1996年、父親で日展作家・鶴見保次氏に師事、加賀友禅を学ぶ。1999年、加賀友禅新作競技会 協同組合加賀染振興協会理事長賞受賞 2000年、石川県伝統産業振興協議会 伝統産業技能奨励者受賞。

公式サイト

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飯田倫久
金沢の陶工房「北陶」作家。1972年 石川県金沢市出身。1991年 石川県立工業高等学校 工芸科卒。同年、父・飯田雪峰のもと北陶へ。陶芸の道に入る。日展入選、現代工芸展本会員賞、現代美術展最高賞、世界工芸コンペグランプリ他、受賞暦多数。日展 会友 現代工芸美術作家協会 本会員。石川県美術文化協会 会員。石川県陶芸協会 会員。金沢市工芸協会 会員。

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松井紀子
富山県南砺市城端で明治10年創業以来、一貫して絹織物業を行なう「松井機業」6代目見習い。東京生活8年目にして、絹織物に魅せられ2010年にUターン。明治10年より続く家業の松井機業を継ぐことに。現場で修業するうちに日に日にものづくりや城端への念が強くなり、城端において仕事に携わっていく喜びを実感している。

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