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高い技術力が施され、国の伝統的工芸品に指定されている絹織物「西陣織」。

西陣織の品種は12種類あり、それぞれ製造工程と特徴が異なります。

この記事では、西陣織の歴史から名前の由来、特徴について詳しくご紹介します。

 

西陣織とは

美しい見た目と繊細な職人技が施された、日本が誇る伝統工芸品西陣織。

まずは、西陣織の特徴と名前の由来についてご紹介します。

 

西陣織の特徴

西陣織(にしじんおり)とは、京都で作られている先染(さきぞめ)の織物です。西陣織の西陣とは、京都市街の北部の上京区、北区を中心とした地域の名称で、実際に西陣という地域があるわけではありません。

 

具体的には、上京区・北区を中心に、おおよそ南は丸太町通、北は上賀茂、東は烏丸通、西は西大路通に囲まれた地域のことを指します。

 

西陣織の最大の特徴は、多品種少量生産ということです。西陣織は完成までに作業工程がいくつもあり、高い技術力が必要な高級品です。

 

そんな西陣織は、12種類の品種が西陣織1976年(昭和51年)に国の伝統的工芸品に指定されました。

 

西陣織の名前の由来

西陣織の名前の由来は、応仁の乱だといわれています。

当時、応仁の乱の影響で、京都から多くの織物職人たちが離れてしまいました。

戦乱が落ち着くと、やがてほかの地域へ避難していた職人たちが京都へ戻り、織物作りを再開します。

その際、西軍が陣を張っていた場所(つまり西陣)で再開したことから、西陣織と呼ばれるようになったようです。

 

西陣織の歴史

西陣織の歴史は非常に古く、古墳時代までさかのぼります。

5〜6世紀に大陸から渡来した秦氏の一族が、現在の京都に住みつきます。

その際に、養蚕絹織物の技術を伝えたのが西陣織の始まりといわれています。

 

平安時代に入ると、朝廷では織部司(おりべつかさ)と呼ばれる役所が置かれます。これにともない、多くの職人を集め、綾や錦といった高級織物が生産されるようになります。

 

平安中期に入ると、朝廷での織物作りは衰退していきます。そして、朝廷で働いていた職人たちは離れ、大舎人町(おおとねりちょう)に住むようになり個人で織物業を営むようになります。

のちに大舎人町で誕生した織物を「大舎人綾」「大宮絹」と呼び、高級織物として珍重されてきました。

 

室町時代の中ごろになると京都では、東軍と西軍が争う1467年に応仁の乱が起こります。11年という長きに渡って繰り広げられたこの戦によって、大舎人町も壊滅状態となりました。職人たちは、戦火を逃れるために堺などの各地へ離散していきました。

 

戦乱が治まったのち、職人たちは西軍の本陣があった大宮今出川のあたりに再び集まり、織物業を再開します。地域の名前から「西陣織」と呼ばれるようになったといわれています。

 

安土桃山時代に入ると、明から織物の技術が入り、紋織(もんおり)と呼ばれる西陣織の基礎が確立します。

 

江戸時代に入り幕府の保護となったのち、さまざまな技術を取り入れてゆき、絹織物業が急速に発展していきました。

 

繁盛しにぎわっていた西陣織でしたが、江戸時代半ばを過ぎるとその勢いも落ち着いてしまいます。度重なる飢饉や二度の大火により、世の中も不安定となり、西陣織の需要も下がっていきます。

さらに追い打ちをかけるように、明治時代に都が東京に移された影響で勢いを失ってしまったようです。

 

そこで京都府は保護育成を図るため、西陣物産会社を設立します。日本から、佐倉常七 (さくらつねしち) 、井上伊兵衛 (いのうえいへえ) 、吉田忠七 (よしだちゅうしち)の3名の職人をフランスのリヨンに職人を派遣します。その後、ジャカード織物の技術を導入し近代化に成功します。そして、現在でも日本で最高級とされる地位を確固たるものにしました。

 

12種類ある品種の特徴

「西陣織の特徴」でも少し触れたように、12種類の品種が伝統的工芸品として指定されています。ここでは、それぞれ織物の特徴についてご紹介します。

 

経錦(たてしき)

経錦とは、経糸(たていと)を用いて地の文様を織り出した織物です。また、いくつもの色を使った織物を錦と呼びます。

 

緯錦(ぬきにしき)

緯錦とは、さまざまな色の緯糸(よこいと)を用いて、大きな文様を織り出す織物です。経錦と同様に、いくつもの色を使った織物を錦と呼びます。

 

紬(つむぎ)

紬とは、真糸を手つむぎした糸を経糸、緯糸に用いて、手機で作りあげた平織のことです。

 

綴(つづれ)

綴とは、緯糸(よこいと)のみで文様を織り出した織物をいいます。緯糸で経糸を包むようにするため、表面から経糸が見えないのが特徴です。そして、ノコギリの歯のようにギザギザとした爪で、1本づつ織り込んでいきます。手間のかかる作業のため、細かい文様のときは多くの時間を要します。

 

緞子(どんす)

緞子とは、経糸と緯糸5本づつ用いて織り出す織物です。織物の表面には経糸か緯糸を浮かせた、繻子織(しゅすおり)と呼ばれる技術が施されます。密度のある厚地な仕上がりで、光沢があるのが特徴です。

 

朱珍(しゅちん)

朱珍とは緞子と同様に、繻子織が用いられた織物です。しかし、緞子と異なり、地上げ紋がないのが特徴です。

 

紹巴(しょうは)

紹巴とは強く撚った糸を用いて、細かい杉綾状や山形状の地紋を織り出した織物です。

 

風通(ふうつう)

風通とは、いくつかの層になっているのが特徴的な織物です。織物の断面は一般的に一重ですが、風通の断面は二重、三重となっています。

 

綟り織(もじりおり)

綟り織とは、1本の経糸に絡み合った織り方です。からみ織とも呼ばれており、経糸と緯糸に隙間ができるのが特徴です。

本しぼ織り(ほんしぼおり)

本しぼ織りとは、練染した絹糸を用いた織物です。糊(のり)をつけて右左と交互に撚ってゆき、最後にぬるま湯でもみ、しぼを出します。

 

絣織(かすりおり)

絣織とは、経糸と緯糸に部分的に防染を施した織物です。

 

ビロード

ビロードとは最初に針金を折り込み、のちに針金の通った箇所の経糸を切り起毛させます。また、針金を引き抜き輪奈(ループ)を作る技法です。

 

肌で触れて感じる

近年では、西陣織の技術を活かして着物以外にも、ネクタイやストールといった小物類も出ています。

伝統技術が施された西陣織は高価なため、気軽に手にできるものから試してみてはいかがでしょうか。

 

西陣織が産地の京都では、実際に西陣織を体験、見て学べる場所があります。

西陣織会館では、手織に触れたり、着物を着たりすることで西陣織を肌で感じることができます。京都へ旅行に行った際は、西陣織会館を訪れてみてくださいね。

 

バッグや扇子などの販売も行っているため、さまざまな視点からお楽しみいただけます。

京都に行く機会がある方は、ぜひ訪れてみてはいかがでしょうか。

 

▷「西陣織会館」の情報については、西陣織会館Webサイトをご確認ください。

 


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結婚祝いや出産祝い、新築祝いなど。

お祝いごとの際に語られることの多い「内祝い」ですが、本来はどのような意味をもつことばなのかご存知でしょうか。また、内祝いとはどのようなシーンで贈るものなのでしょうか。
意外と正しく理解していない方も多いかもしれません。
あいまいな理解のまま失礼にあたってしまわぬよう、今回の記事ではそんな内祝いのしきたりや種類についてご紹介します。

 

内祝いとは

内祝いとは、身内の中で起こったおめでたい出来事や喜びをおすそ分けするという意味のことば。そう、内祝いには本来、「お返し」という意味はありません。そのため内祝いは、日ごろお世話になっている方や親族などに、よろこびの出来事を分かち合うという意味で、贈りものをすることを指します。

 

ただ現代では、内祝いは「いただいたお祝いへのお返し」として利用することが多くなりました。そのため、おめでたい出来事があったとしても、お祝いをいただいていない方に対して内祝いを贈ることはあまりしません。

 

また、現代では「お返し」という意味合いが強い内祝いですが、お返しということばを使うのは失礼にあたります。内祝いにお礼状などを添える際には、そのようなことばを使うことは控えるようにしましょう。

 

内祝いの種類

結婚や出産、引っ越し祝いなど。内祝いには、じつにさまざまな種類があります。ここでは、内祝いにはどのような種類があるのか、そしてスマートに贈るためのマナーについてご紹介します。

 

結婚内祝い

結婚祝いの品をいただいた場合は、挙式後1か月以内にはお返しとして贈るようにします。金額は頂いたものの3分の1から半額程度が目安です。熨斗紙の表書きは「寿」や「内祝」とし、水引は二度繰り返したくないお祝いごととして、結び切り輪結びのものを使用します。

 

《おすすめの贈りもの》

結婚内祝いにおすすめの贈りものとしては、日持ちがするお菓子など後に残らないもの、ペア(セット)食器類、いくつあっても困らないタオルなど実用品が好まれます。また、引き出物と同様に、引菓子や鰹節、祝砂糖といった伝統的なお祝いギフトもつけて贈ることができるとベストです。

 

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●出産内祝い

出産後の慌ただしいタイミングですが、妊娠や出産を祝っていただいた方々への心からのお礼をする、大事な機会です。

 

金額の相場は、いただいた贈りものの半額程度といわれています。お祝いを頂いていない方に対しては気を遣わせることのないよう高価すぎないものを、写真は顔が見たいと言ってくださる親しい間柄の方へ贈るにとどめましょう。熨斗には、蝶結び花結びなど何度繰り返しても良いしるしの水引をつけ、表書きとして「内祝」、その下に赤ちゃんの名前を書くようにします。

 

《おすすめの贈りもの》

石けんやタオルセット、洗剤などといった実用的な消耗品、食品であればお菓子やコーヒー・紅茶などの日持ちのするものが一般的です。かさばりすぎない食器類や小物、ごく近い親類への名入れギフトも喜ばれるでしょう。地域によっては砂糖などの定番を贈る風習もあるのでリサーチが必要です。

 

 

●快気内祝い

病気やケガが治ったとき、お見舞いに来ていただいた方へ快気のご報告として贈ります。

品物をいただいた場合は、その3分の1から2分の1程度の金額のものをお返しするのが一般的です。一度きりとなることを願い、水引は結び切りの形にします。目安として、退院から10日後くらいに贈ることができるとよいですが、何よりも体が本調子になり元気な姿であいさつできることがベストです。

 

《おすすめの贈りもの》

病気が後に残らないように、という気持ちを込めて、あとに残らない消耗品を選ぶようにしましょう。「溶けてなくなる」砂糖や石鹸、チョコレートなどお菓子類、「水に流す」入浴剤や洗剤、「健康に」自然食品、昆布、鰹節…といったイメージに合ったものがよく選ばれます。

 

●新築内祝い

家を新築した際や新居に移った際に、お祝いをいただくことがあるかもしれません。そのお返しとして、もしくはご報告も兼ねて遠方の方などへ贈り物をしたいというときにも新築内祝いとして品を贈ることができます。金額の目安は頂いたものの分の1から2分の1程度熨斗には、何度繰り返してもよいこととして蝶結び花結びの水引をかけます。転居から1、2か月のうちに贈るようにしましょう。

 

《おすすめの贈りもの》

「入るもの(建物)が決まった」という意味から、グラスやカップなどの入れものを贈る習慣もあります。もちろん、ほかの内祝いと同様、タオルギフトやお菓子類、石鹸、洗剤などの消耗品も喜ばれるでしょう。

 

———

手渡しが難しい場合にはギフト専門店などからの配送でも問題ありません。熨斗とお礼状を添えられるようにするのがポイントです。頂き物のお返しでもあくまで「内祝い」ですので、お礼状やメッセージカードには「お返し」とは書かないように注意しましょう。

 

相手の環境を考慮し、また置き場所に困るようなもの個性的すぎるものは避けるのが無難です。弔事によく使われる日本茶や、刃物などの縁起が良くないとされるものは、相手が確実に欲しがっていると知っている場合以外は避けておくのが無難でしょう。頂いたものの相場や相手の好みが不明な場合、カタログギフトで相手に選んでいただくこともできます。とはいえ、相場やモノにこだわらず、まずは言葉で、感謝の気持ちを伝えるのも大事なことです。

 

このようにいろいろな定番商品があるなか、ひと味違ったギフトとして日本の伝統工芸品を選ぶ方も増えてきています。


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▷箱根寄木細工の歴史についてはこちらの記事をご覧ください。

 

箱根寄木細工は、その名のとおり「木を寄せ集めて」つくる作品です。

精緻な幾何学模様は、着色料などを用いず、樹木の自然な色を生かして作られています。豊富な樹種を誇る箱根山のもとであるからこそ生まれた工芸といえるでしょう。現在、箱根山は国の保護区となっているため、国内外から様々な木材を集めることで多様な表現を可能としています。しかし、寄木細工が生み出す色の秘密は、それだけではありません。

 

寄木細工が生み出す色のひみつ -埋もれ木-

「埋もれ木」とは、倒木してから数百年ものあいだ地中に埋まっていた木のことで、「神代(じんだい)」とも呼ばれます。土砂によって酸素が遮断され、腐敗していない状態で再び掘り起こされる「埋もれ木」は、たいへん貴重な木材。地中に埋まっていたことで独特な色合いに変化し、寄木細工の模様に深みを増してくれます。寄木細工の美しさは、まさに自然が与えてくれた恵みによるものなのです。

 

伝統文様と新しい文様

自然がもたらしてくれる木の豊かな色合いを利用し、市松青海波麻の葉など、伝統文様の数々を表現する寄木細工。その精緻さは、とても木材だけを利用しているとは思えないほどです。

 

伝統文様と一口に言っても、どの木材を組み合わせるかによって表情は大きく変わってきます。たとえ同じ種類の木であっても、ひとつひとつの色合いや木目が異なるので、まったく同じものは二つとないのです。

 

最近では、従来の文様や製品の枠にとらわれない、新たな作品が生み出されています。

そのひとつが時計ブランド「ICETEK(アイステック)」とのコラボレーション。

 

ICETEKのアイコンであるダイヤモンドを文様に落とし込んだのは、寄木細工の若手職人集団「雑木囃子(ぞうきばやし)」のメンバーである篠田英治氏です。篠田氏は非常に細かい細工を得意としており、500円玉ほどの大きさの「日本一小さな秘密箱」などを製作しています。

 

その技術によって、小さな時計盤にダイヤモンドの文様を表現しました。

従来の伝統文様が約1日で仕上がるのに対し、ダイヤモンド文様の製作には丸1週間を要します。仕上がりの良いものを選定すると、手間暇は2倍3倍にもなるといいます。

 

使用する木材も日本産に限定した、「メイド・イン・ジャパン」にこだわった作品。若い感性が寄木細工の伝統にどのような新しい風を巻き起こすのか、今後がもっと楽しみになる逸品です。

 

ICETEK
QUINTEMPO1_WOOD
※参考商品

<篠田英治氏プロフィール>

1982年 神奈川県相模原市生まれ

2002年 京都伝統工芸専門学校 入学

2003年 京都伝統工芸専門学校 卒業

2013年 厚生労働省認定 神奈川県箱根細工技能師 認定

非常に細かい細工を得意とし、小さな秘密箱やオルゴールなどを製作している。

 


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箱根を代表するお土産のひとつとしてもよく知られている、「箱根寄木細工」。

 

寄木細工は自然の木材を使い作られており、色や組み合わせかたにより、さまざまな模様を表現します。その数はなんと、100種類以上あるといわれています。

 

この記事では、箱根寄木細工の歴史から特徴、種類について詳しく紹介します。

 

箱根寄木細工とは

寄木細工(よせぎざいく)とは、さまざまな種類の木材を組み合わせ、それぞれ異なる色合いを利用して模様を描く木工技術です。箱根寄木細工は神奈川県箱根町で生産されており、日本が誇る伝統工芸品のひとつです。

 

日本ではほかに類を見ることがなく、昭和59年に通商産業大臣(当時)より「伝統的工芸品」に指定されています。正確かつ複雑な文様を表現していながらも、同時に木の暖かみを感じさせてくれる魅力があります。

 

箱根寄木細工の特徴は、箱根の樹木が色鮮やかな幾何学模様たちを生み出すことができるという点です。種類の多い木材それぞれがもつ、異なる材色や木目を活かし、寄せ合わせることで緻密な幾何学文様を作りだされます。

 

代表的な作品は、側面をスライドさせる仕掛けで開く「秘密箱」。

別名「からくり箱」とも呼ばれており、簡単に開けることができない作りとなっています。複雑な仕掛けもさることながら、精緻で美しい模様は人々を惹きつけてやみません。 

 

箱根寄木細工の歴史について

箱根寄木細工の始まりは、江戸時代まで遡ります。

江戸時代後期ごろに、箱根山の畑宿という宿町で石川仁兵衛 (いしかわにへい)) が作り始めたといわれています。当初は、乱寄木や単位文様による寄木細工が主流だったようです。このころは、この土地を訪れた旅人たちの土産として親しまれていました。

 

明治時代初頭には、静岡方面の寄木技法がもたらされました。連続文様構成の小寄木が確立したことで、幾何学模様の寄木細工が作られるようになっていきました。そして、現在まで寄木細工の技術が受け継がれ親しまれています。

 

文様の種類はなんと50種類以上

寄木細工はいくつもの木材を使って、さまざまな文様を表現しています。

「六角麻の葉」や「紗綾型(さやがた)」「青海波(せいがいは) 」「七宝矢羽(しっぽうやばね)」などの伝統的な文様をはじめ、現在では約50種類以上の文様が存在します。

木材の色の系統は、白色、淡黄色系、灰色系、黄色系、茶色系、緑色系、褐色系、赤色系、黒色系といった、9つの系統に分けられています。いくつもの木材と角度を変えて作ることで、100種類以上になるといわれています。

 

繊細な技巧の集大成、寄木細工

そんな寄木細工は、どのような工程を経て生み出されるのでしょうか。

 

《製作工程》

まずは、色や木目の異なる板を配色して貼り合わせます。その板を、型を用いて正確な形に削り出し、さらに貼り合わせて文様のパーツ(単位模様)を作ります。それらの単位模様をいくつも組み合わせることで精緻な幾何学模様を作り出したものを「種板(たねいた)」と呼びます。

 

細かなパーツを正確に削り出しては寄せていく、気が遠くなるような作業です。

 

「種板」をろくろで削り出すなどして形作った作品は、「無垢もの」と呼ばれます。丸みを帯びた形も作ることができ、曲面の出し方によって模様が変わるのも特徴のひとつです。

 

「種板」を特殊な大鉋(おおかんな)で削り、薄いシート状にしたものを「ヅク」と呼び、この「ヅク」を木製品の外側に貼り付けて作られた作品は「ヅクもの」と呼ばれます。この「ヅク」が作れるようになったことで、寄木細工をあしらった製品の量産が可能になりました。

 

熟練した匠の技

寄木細工の精緻な文様は、職人たちの熟練した技によって生み出されています。

そんな寄木細工は現在、どのような場所やシーンにも馴染む風合いある和洋折衷のインテリア雑貨としても注目を集めています。

 

箱根寄木細工は、文様によってまったく異なる表情をみせます。ぜひ皆さんも手に取って、寄木細工の魅力について触れてみてくださいね。

【関連記事】寄木細工―美しい模様のひみつ


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お祝いやお礼、お悔やみなど、そのときどきの気持ちを包み、相手を想う祝儀袋(のし袋)。 

 

日本ならではのこの文化はさまざまな場面で行われるため、その時々でどのようなものを使用すればよいのか悩むこともあるかもしれません。しかし、ここぞという時にマナーを心得た美しい祝儀袋を贈ることができると、相手にも自分の気持ちが伝えられ、より喜んでいただけることでしょう。

 

今回は祝儀袋を選ぶときのポイントについて詳しくご紹介します。

 

祝儀袋の選び方について

祝儀袋と熨斗袋(のし袋)は、同じくお祝いごとの際に使用するものを指します。弔事に使用するものは不祝儀袋、香典袋といい、慶事弔事問わずお金を包むものとして、金封とも一般的にいわれます。

 

使われる袋は、包む金額や贈る場面によって変わります。また、近年では多彩な水引が飾られた、非常にさまざまなデザインの祝儀袋・不祝儀袋が作られているため、うっかり失礼にあたる袋を選んでしまわないよう注意したいところです。

 

贈る金額と袋の大きさについて

相手に渡す際に、正しい袋の大きさかどうかを確認します。なお、袋の大きさの決め方は、金額によって変わります。

 

目安として、1〜3万円を包むスリムタイプから、数百万円を包むような特大サイズまであり、水引や熨斗が印刷された数千円向けの簡易な袋も販売されています。それぞれの袋の包装に使用目安の金額が書かれているものが多いので、それを参考に選ぶことができます。

 

紙の色について

現在では袋の紙の色も、さまざまなものがあります。

 

白地に紅白のものや金銀がベースになった伝統的な雰囲気なものであれば、フォーマルな披露宴の場合でも安心です。洋風なものやカラフルなものもあり、こうしたタイプはレストランウエディングといった現代的な結婚式にもフィットします。贈る相手や会場の雰囲気などを考えて色を選ぶこともできるでしょう。

 

お子さま向けの入園・入学祝いなどの際には、かわいらしい動物などの柄が入った袋を使うこともできます。

 

水引の種類について

相手に贈るときは、水引の種類を確認してから選びます。水引にも込められた意味がさまざまなため、最適な水引を選ぶとよいでしょう。

 

結び切り

「結び切り」のほかに「真結び」と呼ばれる結び方は、贈り物や目上の方への贈り物によく使われてきた結び方です。現在では、婚礼や葬儀、病気のお見舞いなどに使用されることが多く、一度結ぶとほどけにくい特徴があります。

 

また、この結び方を発展させたもののひとつが「淡路結び」。

 

この淡路結びも一度結ぶとほどくのが難しいことから、「二度とあってほしくない」という意味が込められ、お祝いと不祝儀どちらのシーンでも使うことができます。

 

加えて、紐の両端を引っ張ることで結び目がギュッと固くなることから、「末永く一緒にいたい、いてほしい」という意味合いも込められています。

 

もろわな結び(花結び・蝶結び)

もろわな結び(花結び・蝶結びともいう)と呼ばれる結び方は、自分と同等の立場の人や贈りものをする際に使用され、引っ張るとほどけるため、何度でも使えるお祝いに適しています。ただし、弔事や病気見舞いには不適切とされているため、注意が必要です。

 

祝儀袋の書き方について

祝儀袋を選ぶときは、中袋がセットになっているものを選びましょう。

 

表書きには、渡す本人の名前を中央に書きます。書くときは中央部分を基準とし、連名は代表者の名前の左側に書いていきます。ただし、バランスがよく見えるように、中央揃えにして書くこともあります。また、連名は3名までとされているため、4名以上になるときは代表者の左横に外一同を記載します。

 

中袋の表と裏には、金額と名前、住所をしっかりと書く必要があります。表面の中央には、「金〇萬円」と書きます。〇の箇所には、渡す金額を書きます。裏面の左側には、渡す側の住所と名前を書きます。

 

祝儀袋で気持ちを贈る

贈る場面によって袋についている水引の結びも変わってくるため、どのような場面なのかきちんと把握しておく必要があります。

ポイントをしっかり押さえておけば、祝儀袋選びも難しいものではなく楽しみながら決められるはず。ぜひこの機会に、お近くの祝儀袋売り場をのぞいてみてくださいね。

 

【関連記事】水引に込められた想い


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結婚祝いからお中元まで、さまざまな場面で使われている水引。

 

落ち着いた色から鮮やかな色まで種類豊富な水引ですが、見た目のためだけに作られたものではありません。水引には、大切な役割が存在します。また、使う場面によって結び方や意味が変わってきます。

 

今回は水引の役割、結び方と込められた想いについて詳しくご紹介していきます。

 

水引の役割について

水引は、大きく分けて3つの役割をもっています。

 

  • 贈りものする際などに、包みがほどけないように留めておくため
  • 一度ほどくと、封を開けたことが分かってしまうことがあります。そのような事態を防ぎ、誰かに無断で開けられるのを防ぐため
  • 贈る相手に礼を尽くし、気持ちを結びに託して伝えるため

 

水引の種類について

水引は大きく分けて、4種類の結び方があります。ここでは、それぞれの結び方と特徴について説明していきます。

さまざま場面で使われている水引ですが、実際にはどのようなシーンで使われているのでしょうか。ここでは、一般的に使われている場面をご紹介します。

 

結び切り(真結び)

「結び切り」のほかに「真結び」と呼ばれる結び方は、贈り物や目上の方への贈り物によく使われてきた結び方です。現在では、婚礼や葬儀、病気のお見舞いなどに使用されることが多く、一度結ぶとほどけにくい特徴があります。

また、この結び方を発展させたもののひとつが「淡路結び」。

この淡路結びも一度結ぶとほどくのが難しいことから、「二度とあってほしくない」という意味が込められ、お祝いと不祝儀どちらのシーンでも使うことができます。

加えて、紐の両端を引っ張ることで結び目がギュッと固くなることから、「末永く一緒にいたい、いてほしい」という意味合いも込められています。

 

もろわな結び(花結び・蝶結び)

もろわな結び(花結び・蝶結びともいう)と呼ばれる結び方は、自分と同等の立場の人や贈りものをする際に使用され、引っ張るとほどけるため、何度でも使えるお祝いに適しています。ただし、弔事や病気見舞いには不適切とされているため、注意が必要です。 

 

誕生日のちょっとしたプレゼントに選ぶのは最適ですが、弔事以外に結婚祝いに贈るのは不適切です。もろわな結びは何度でも結び直しができてしまうため、ふさわしくないといわれています。

 

あわじ結び

あわじ結びとは、輪ができるような結び方をした水引です。結ばれた形は鮑(あわび)に似ていることから、「鮑結び」とも呼ばれています。

ほどくのが難しく、結び切り同様に「末永く続きますように」「一度限り」「二度とあってほしくない」などの意味が込められています。慶事や弔事といった、さまざまな場面で使うことができます。しかし、地域によってはすこし意味合いが異なることなるため、注意が必要です。

 

二度とほどけない結び方は、結婚祝いや出産祝いといった慶事から、葬儀などの弔事に使われます。

 

梅結び

梅結びとは、あわじ結びが変化してできた結び方です。結んだときに梅の花のような形に見えることから、そう呼ばれるようになったと考えられています。

 

簡単にはほどけないことから、「固く結ばれた絆」などの意味があり、お祝いの席などめでたいときに使われます。また、梅は古くから日本で縁起がよい花のひとつとされています。梅は1月の寒いころから咲き始め、寒い時期にも強くたくましい花です。このようなことから、「開運」「出世」などの意味も込められています。

 

水引の色について

水引は色によって意味も異なるため、使う場面によっても変わります。慶事と弔事の2つに分けて考えるのが一般的です。

 

慶事ごとの際の色

慶事ごとの際には、紅白(赤白)、金銀、金赤が使われます。そのなかでも赤白は、お祝いごとや、お見舞いといった慶事全般で多く使われます。中でも、結婚を祝うなどとくにおめでたいときには、紅白か金銀を使います。金赤はほかと異なり、神札や門松の飾りといった、行事のときに使われます。

 

弔事ごとの際の色

弔事の際には、黒白、黒銀、黄白、双銀が使われます。黒白と黒銀は、香典やお供えなどの仏事全般で使われます。また、黄白は、関西や北陸の仏事で用いられます。

双銀は、女性が香典を出す際やキリスト教にのっとって葬儀を行う際に使われます。

 

本数について 

慶事ごとの際には割り切れない奇数にし、弔事ごとの際には割り切れる偶数にするのが一般的です。

水引も色のときと同様に、慶事と弔事に分けて考えられます。慶事ごとの際には、3本、5本、7本の奇数です。一方、弔事ごとの際には、5本、7本、10本の偶数です。

これは、偶数は割り切れてしまい縁起が悪いため、このような考え方になったといわれています。また、古代中国の陰陽説によると、「偶数を陰数、奇数を陽数」といわれてきたことからきている説もあります。

 

水引に込められて想い

水引は束ねるだけのものではなく、さまざまな意味が込められています。

 

どのようなときに使うかで、種類や本数なども変わってきます。使う場面によっては失礼にあたることもあるため、最低限の決まりを覚えておくとよいでしょう。

 

近年では、さまざまなデザインの水引が登場しています。誕生日などの記念日の贈りものにもぜひ、気軽に使ってみてくださいね。


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日本の贈りもの文化において、欠かすことができない水引。

水引は慶弔のときだけでなく、さまざまな場面で使われます。特に近年では、美しい飾りはギフトとして使うのも大活躍しています。そんな水引には、古くからの歴史と匠の技が詰まっています。

 

この記事では、水引の名前の由来から歴史、製造過程について詳しく紹介します。

 

「水引」と呼ばれるようになった由来

日本人にとって身近な水引ですが、なぜ「水引」と呼ばれるようになったのかご存知でしょうか。

 

諸説ありますが、なめらかで張りのある細い紐は、細長く切った和紙を縒(よ)って紐状にした紙縒(こより)に、水糊を全体に引いて乾かし固めたものです。そこから「水糊を引く」ということから、水引と呼ばれるようになったといわれています。

 

ほかにも、紐を染色する際、水に浸して引きながら染めたことを由来とする説もあります。

 

水引の歴史

水引の起源は、飛鳥時代までさかのぼります。

遣隋使として隋に派遣された小野妹子が、日本に持ち帰った贈りものが関係しています。そのとき、航海の無事を祈った紅白の麻ひもがかけられていたようです。そして、宮中への献上品や貴族間での贈答品に、紅白のひもが結ばれるようになったといわれています。のちにその素材が和紙に代わり、水引が誕生したようです。

 

現在、国内の水引の生産地のトップは長野県飯田市で、全国シェア約70%を誇るほか、愛媛県伊予三島市でも盛んに生産されています。

かつて、和紙の生産地の多くでは、水引も作られていましたが、近年ではごく限られた地域にとどまります。

 

戦後は、一般家庭でも結納や結婚式などで豪華な水引飾りが多用されました。しかし、リボンの普及にともない、水引は徐々に限られた場面でしか使われなくなってきているのが現状です。しかし、やわらかなリボンとは異なり、水引は和紙特有の張りをもち、リボンでは表現できないような凛とした美しさがあります。

 

ほどいてしまうと元には戻らない束の間の美もまた、水引ならではの味わいといえるでしょう。

 

水引の製造過程

長いテープ状に切断した和紙に水を含ませながら、数本ずつ縒っていきます。

 

天気のよい日や広い場所で、できあがった紙糸100本余りをひと組にして長く平らな帯状に張ります。そこへ、クレー粉や米糊、布海苔(ふのり)などを原料とした専用の糊をまんべんなく塗りながらしごいていき、しっかりと乾燥させます。白い状態のこの紙糸に、刷毛を使って赤、黄、黒などさまざまな色に染めていきます。さらに乾燥させたのち、切断したものが一般的に水引といわれる「紙巻水引」です。

また、染め分けせず金銀の紙が巻いてあるものを「金銀水引」、アルミ箔を巻き光沢を出すようにしたものを「特光水引」と呼ぶこともあります。

そのほかにも、水引に人工の絹糸を巻いた落ち着いた雰囲気のものやラメの入った細いフィルムを巻いた華やかなものなど、じつにさまざまな色合いの水引があります。芯は紙でも、さまざまな素材をまとった水引が存在します。

 

日常のアイテムとして溶け込む水引

近年では、お祝い事や慶事のとき、お正月のしめ縄などのほかに、水引をモチーフにしたアイテムも多く登場しています。アクセサリーからうつわなど、幅広いアイテムとして取り入れられています。

そんなアイテム1つひとつにも、意味や作り手の想いが込められています。時代の流れとともに形も変化していき、日本の伝統文化が引き継がれています。

自遊花人
箸置き -ゴールド-

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水引を身近なものに

大切な人へ贈りものをする際などに、使うことが多い水引。

 

すこし渋いイメージもあるかもしれませんが、実はお菓子などちょっとしたプレゼントなどに、現代のライフスタイルでも気軽に使うことができます。

誕生日や差し入れのときには、蝶結びの水引をつけるなど、使う場面によって変えることで特別感も増し、もらう側もより嬉しい気持ちになるはずです。

 

水引にはさまざまデザインのアイテムがあるため、実際に手にとって身近に感じてみてくださいね。

 


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日本の匠にクリエイティブの源を聞くインタビュー特集『匠の道』。

第8回は、日本人ならだれもが知る和菓子屋「虎屋(とらや)」を訪問。和菓子職人の増戸 稔(ますど みのる)さんから話をうかがいました。

 「とらや」東京工場製造課課長を務める増戸 稔さん
虎屋東京工場製造課課長を務める増戸 稔さん

室町時代後期に京都で創業して以来、人々に愛され続けて約500年。虎屋の揺るぎない歴史と向き合いながら、増戸さんはいかに和菓子作りに取り組んでいるのか。また、虎屋がいま挑戦している取り組みなどについて盛り上がりました。さらに後半では、実際に生菓子「ささ栗」の製造実演をしていただきました。

さあ、めくるめく虎屋の世界に飛び込んで参りましょう。

虎屋黒川東京工場を訪問しました
東京工場を訪問しました

虎屋の創業は室町時代の後期といわれています。後陽成天皇の在位中(1586〜1611年)から御所御用を勤めてきました。そののち東京遷都に伴い、京都の店はそのままに東京へ進出。現在は赤坂御用地の近くに本社と工場、そして店舗を構えています。

 

今回お話を聞かせてくださった増戸稔さんが、虎屋東京工場の製造課に初めて配属となったのは1992年のこと。

「就職活動をする中で虎屋を選んだのは、会社案内のパンフレットを受け取ったときに生菓子の写真を見て、純粋にきれいだなと思ったからです。こうしたものが自分の手で作り出せるのであれば、働いてみたいなと思いました。子どもの頃から、自動車のプラモデル製作や日曜大工の真似事などといった、なにかものを作るのが好きだったんです」

 

 

物作りを始めるとつい熱中してしまうと語る増戸さん。その原点には家庭の事情もありました。

「自分は小学5年生のとき、母親を亡くしているんです。子どもの頃から自分で料理を作ったりしなければならなかった。それで食に対する興味を持つようになったのかもしれませんね。進学した高校にしても、食品科学科という学科。自然と食の道へと進んでいました」

 

かくして虎屋に就職。以降17年にわたって、増戸さんは菓子作りの現場に立ち続けてきました。毎朝7時半には作業場へ入り、その日にお店へ出す生菓子作りを始めます。

「私が所属する製造部門のチームは46人で、生菓子と焼物のふたつに分かれています。つくる種類は、店売生菓子だけで約6種類。毎朝、1種類平均で100-200個ほどを作ります。それが終われば朝礼、休憩と入って。その後は、翌日の仕込み作業などを行ないます」

 

さて生菓子といえば、季節にちなんだ意匠が多くみられます。虎屋では半月おきに「季節の生菓子」が入れ替わります。2017年の8月下旬は、増戸さんに実演していただいた「ささ栗」や「水仙紅葉重」(すいせんもみじがさね)、「初秋」(はつあき)など、まさしく秋の訪れを感じさせる季節感たっぷりのラインナップ。

それでは増戸さん、季節ごとに入れ替わる生菓子を手がけることうえで気をつけていることはありますか?

「日常のなかで季節を感じ、自然を観察することだと思います。日々を何気なく過ごしてしまっては〝暑い寒い〟で一年が終わってしまう。意識して道端に咲いた花を見たりだとか、空や雲を眺めたりだとか、そうしたことには気をつけています」

 

虎屋には代々受け継がれる「菓子見本帳」が存在します。菓子の絵図や名前を記したもので、いまでいう商品カタログの役割を果たしていました。現存する最古のものが描かれたのは元禄8年(1695年)といいますから、やはりここからも虎屋の長い歴史をうかがい知ることができます。

さらに驚くべきは、こうした菓子見本帳をベースにしながら現在も虎屋の和菓子が作り続けられていることでしょう。記録に残る和菓子の数はというと、なんと約3000種!

「とらや」菓子見本帳がみっちりと収められた木箱
菓子見本帳が収められた木箱
とても古い菓子見本帳を開くと……
歴史ある菓子見本帳を開くと……
「ささ栗」の絵図が出て参りました。こうした見本図案を参考にすることで、和菓子は時を超えていまなお作られ続けています
「ささ栗」の絵図が出てきました。こうした絵図をもとにすることで、和菓子は時を超えていまなお作られ続けています

約500年ものあいだ人々に愛され続ける虎屋ですが、今までのやりかた、築き上げてきた味を自ら問い直すことも必要だといいます。

「当代(17代 黒川光博)は、社長に就任してすぐ〝虎屋の味は絶対なのか?〟という検証を行ないました。社員たちに目隠しをさせ、虎屋を含めたさまざまなお店の羊かんを試食させ、出てきた意見を参考にしたそうです。歴史が長い分、つい思い込んでしまっていることは少なくない。もちろん先人が築き上げてきた味ではあるけれど、時代に寄り添って少しずつ変えていくことも良いのではないか、と黒川は言います」

時代ごとにアップデートされる「とらや」の和菓子
時代に合わせてアップデートされる虎屋の和菓子
お馴染みの虎マーク。「とらや」元赤坂一丁目店にて
お馴染みの虎マーク。元赤坂一丁目店にて
「とらや」元赤坂一丁目店に飾られた菓子木型
元赤坂一丁目店に飾られた菓子木型

増戸さんは1992年から菓子作り一筋で務めてきましたが、2009年には広報課に異動しています。17年ものあいだ続けた物作りから一転して、人々に虎屋を伝える部署への異動。これは一体、どういうことなのでしょうか。

「会社見学でお客様をご案内する際、単に言葉や画で説明するよりも、実際にデモンストレーションをすることで伝えられることがあるのではないか。そういった意味合いもあり、かつては広報課に菓子作りができる者が1人はいたんです。当時は私がその担当でした」

 

なぜ自分が?と半ば驚きながらも広報課へと異動した増戸さん。それまでの菓子作りのエキスパートという立場から一転し、虎屋の歴史を含めて会社全般の説明ができなければならない立場となり、初めて学んだことは少なくなかったといいます。

「広報課で2年務めたのち、再び製造課に戻りました。その4年後には同課の技術向上責任者として、後輩に技術を伝える立場となりました。ここで広報課在籍中に学んだ“伝える”という経験が大きく活きたと思います」

 

現在は同課の課長を務める増戸さん。チームとともに菓子作りに携わりながら、マネジメント職として現場管理を担っています。それではここで、増戸さんに季節の生菓子を作っていただきましょう!

 

茶色い餡で白い餡を包み込む「包餡」で「栗」を作ります
白い餡を茶色い餡で包餡します
緑色の餡を濾して「そぼろ」を作り出します
緑色の餡を濾して「そぼろ」を作り出します
「そぼろ」を「栗」の周りにつければ……
「ささ栗」が完成!
「ささ栗」が完成!

「ささ栗」は複雑な形をしているため、一見シンプルですが、力加減がとりわけ難しいといいます。また「栗」の部分には砂糖を溶かした蜜をハケで塗ることでツヤを出します。仕上げの「そぼろ」づけは1本一本を潰さない絶妙な力加減が求められ、お店に出せるようになるまでに一年は要するそうです。

 

それにしても驚かされるのは、実物のいが栗を実に見事に表現していること! 菓子見本帳に残された古い絵図を眺めても、華やかなデザインが目を引きます。自然をそのまま表現するだけでなく、その時々の季節に呼応したかたちや色合いを持たせることで、菓子を見た人々の心をそっとくすぐる魅力が隠されているのかもしれませんね。

たとえば亀は赤色にデフォルメされています
たとえば亀は赤色で表現されています。とっても縁起がよさそう!

半月おきに入れ替わる虎屋の生菓子。季節のちょっとした変化に呼応しているようです。そう考えながら和菓子を頬張ってみると、また新しい味わいに出会えるのではないでしょうか。

壱ポイントでは、和菓子をいただく時にぴったりの食器を取りそろえております。虎屋の和菓子と合わせてご堪能あれ。

日本の伝統工芸品である「友禅染め」は、匠の技によって作られている染色技法です。

 

友禅染めが施された着物は、技法や産地の種類などによって、仕上がりや特徴も異なります。そんな友禅染めの歴史は古く、江戸時代から始まったといわれています。

 

今回は友禅染めの歴史・始まり、どのように発展していき、現代の模様が作られていったのかについて詳しくご紹介します。

 

江戸時代から始まった友禅染め

友禅染めには、「京友禅」「加賀友禅」「東京友禅(江戸友禅)」と呼ばれる三大友禅が存在しますが、そもそも友禅染めがどのようにしてできたのかをご存知でしょうか。

 

一目だけでは「布」「染織」といったイメージと結びつきにくいようですが、友禅染めの名は、人名からとられたものです。

 

その歴史は、江戸時代までさかのぼります。

江戸時代、宮崎友禅斎(本名:日置清親/ひおききよちか)という人物が京都で扇面の絵師として人気を博していました。とある呉服屋から彼に依頼があり、友禅斎が着物の小袖に描き染めたことが「友禅染め」の長い歴史のはじまりとなったといわれています。

当時の江戸では、贅沢を禁止するために奢侈禁止令(しゃしきんしれい)が発令されました。そのため、金彩を使った着物など、きらびやかなものを身にまとうことができませんでした。そのときに、金彩などを使わずに絵柄を施す友禅染めが注目されます。

 

布に直接描かれる友禅模様は、さまざまな模様やたくさんの色を実現し、当時の着物のデザインの幅を大きく広げた非常に画期的な発想でした。

このとき、友禅染めは色をたくさん使用するにあたり、隣り合う色が混ざってしまわないよう境目に糊(のり)で線を描く技法が用いられていました。

やがて人気が高まるにつれ、友禅斎の作った友禅染めの絵柄や技法が載った『友禅ひいなかた』『余情ひなかた』といった書物が出版されました。

 

文明開化の明治時代へ

明治時代に入ると、明治時代初期の文明開化によって友禅染めの技術はさらに発展していきます。これには、中興の祖である廣瀬治助翁(ひろせじすけ)が大きく貢献しました。

 

文明開化で取り入れられるようになった化学染料を使い、色糊が作られました。また、廣瀬治助翁は型紙を用いて友禅模様をかたどり、大量生産が可能な「型友禅」と呼ばれる技法を確立させました。

【関連記事】三大友禅の特徴と見分け方について

 

代表的な染色技法

友禅染めにはさまざまな技法が存在しますが、そのなかでも代表的な2つの技法についてご紹介します。

 

手描き染め

手描き染めは、古くから日本で伝わる伝統の染色技法です。その名のとおり、下絵から色をつける作業まですべてが職人の手作業で作られています。さらに、作業工程の数は多く、1つひとつの作業をそれぞれの職人が分業で担当しています。

色指しによっておきる、ぼかしやにじみなど作り手によって異なります。そのため、二つとない、手描き染めでしか味わうことができないのも魅力です。

 

型染め

型染めは、型紙を使って染める染色技法です。明治時代に廣瀬治助翁によって発明され、型染めによって大量生産が可能となりました。型染めは使われる色と同じ数の型紙が必要となるため、たとえば一枚の振袖に対して数十枚から数百枚もの数が用いられます。

 

友禅染めの発展「三大友禅」

友禅染めは宮崎友禅斎が京都で作り出されたものですが、それぞれの地域によって発展していきました。ここでは、「三大友禅」と呼ばれる京都の「京友禅」、石川県の金沢市の「加賀友禅」、東京の「東京手描友禅」についてそれぞれ紹介します。

 

京友禅

京友禅は友禅染め発祥の地京都で生産され、三大友禅のなかでも最も古いといわれています。

そんな京友禅は、手作業の工程が多く、完全分業制で作られているため、きらびやかで華やかな仕上がりが特徴です。

さらに、1976年には、経済産業省指定の伝統的工芸品に指定されています。

 

加賀友禅

加賀友禅は石川県金沢市を中心に作られており、その歴史は500年前までさかのぼります。当時から加賀では、「梅染」と呼ばれる技法が存在していました。のちに、宮崎友禅斎が京都から金沢にある御用紺屋棟取の「太郎田屋」に身を寄せた際に、当主の茂平と意気投合したといいます。これにより、それまで加賀でおこなわれていた加賀友禅をともに改善させたとされています。

 

加賀友禅は、加賀五彩と呼ばれる基本の5色(臙脂、藍、黄土、草、古代)のみで作られているのが特徴です。さらに、1975年には、経済産業省指定の伝統的工芸品に指定されています。

 

東京友禅(江戸友禅)

東京友禅は東京都が産地で、色合いも落ち着いており控えめな仕上がりが特徴です。東京友禅が広がったのは、1603年に徳川家康が江戸幕府を開設したのをきっかけといわれています。当時、大名お抱えの絵師や染め師といった職人たちが、京から江戸へ移り住むようになり技術が発展していったようです。

【関連記事】三大友禅の特徴と見分け方について

 

未来へと受け継ぐ

友禅染めの歴史はとても長く、その伝統は現在でも受け継がれています。

繊細で難しい技術にもかかわらず、幅広い模様から色を表現しています。それは、作り手の想いや匠の技があって成り立っています。その美しさや魅力は、実際に手に取ることでより実感することができます。

 

近年では、着物以外にも手ぬぐいといった、気軽に使えるものまででています。実際に友禅染めに触れ、染色技術や美しさを感じてください。


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日本の伝統工芸品のひとつである、「友禅」。

 

そんな友禅には、京友禅、加賀友禅、東京友禅の三大友禅と呼ばれる代表的な友禅があります。産地が異なるため、それぞれの特徴、作業工程や使われる色も変わってきます。

しかし、三大友禅と言っても判別するのが難しいもの。

そこで今回は、三大友禅の特徴からそれぞれの違い、見分け方について詳しくご紹介します。

 

友禅の歴史

そもそも友禅とは、伝統的な着物を染める方法である「友禅染め」を略した言い方です。そして、友禅染めを施した着物のことを「友禅着物」と言います。

 

日本の伝統的な染色技法として知られる友禅染は、数百年もの歴史があり、江戸時代まで遡り、京都の扇面絵師・宮崎友禅斎によって考案されました。

そんな友禅染めは、手描きで染め上げる「手描友禅」と、型紙を用いて染める「型友禅」の2種類に分られます。

 

もともとはすべて手書きで行う手描き友禅が主流でしたが、明治時代になるとヨーロッパから合成染料が入ってきたことで型紙を用いた型友禅が誕生し、量産が可能になりました。

【関連記事】友禅の歴史

 

三大友禅の主な違い

友禅は布地を染める染色技法ですが、そのなかにもいくつか種類が存在します。

ここでは、代表的な三大友禅についてご紹介します。

京友禅

日本を代表する染色工芸で、経済産業省指定伝統的工芸品である京友禅。

 

平安時代の貴族文化の影響を受けている京友禅は、有職文様や四季の花鳥を染めたものが多く、刺繍や金箔を用いた華麗な絵模様が特色です。

描かれる文様はさまざまですが、有職文様(ゆうそくもんよう)や御所解模様(ごしょどきもよう)のような公家や宮中に関連した、繊細にパターン化された伝統的な図案が使用されることが多いのも特徴です。仕上げには刺繡や金箔も用いられ、きらびやかな雰囲気をもちます。

 

また、模様の中心が濃く、外に向かって淡くぼかしていくという技法を用いることで生まれるグラデーションが、より優美で華やかな印象を与えます。

 

なお、京友禅は完成までの数多くの工程がすべて分業制で行われ、それぞれの工程を専門の職人が担当して作られています。

 

加賀友禅

加賀友禅とは、加賀五彩と呼ばれる基本の5色(臙脂、藍、黄土、草、古代)のみで作られているのが特徴です。

色を挿す以外に刺繍や金箔などはほとんど用いられず、全体としてやや落ち着いた色合いが特徴です。また、この色挿しは基本的に作家ひとりで行われます。

 

文様は細部まで描き込まれた、写実的な動植物が代表的です。草花などに色を施す際、外側を濃い色、内側を薄い色とグラデーションにする外ぼかしの技術によって、上品な印象に仕上がります。小花が散り、草は虫食い葉を染色で表現するなど、豊かな北陸の自然を連想させます。

 

東京友禅(江戸友禅)

東京友禅とは、図案や色合いが比較的あっさりと控えめな雰囲気です。

 

格式ある意匠が用いられていても、派手に目立たせるというより、そのモチーフが際立つよう余白も活かされているようなデザインがしばしばみられます。絢爛な文様の東京友禅も存在しており、刺繍や金箔も用いられるものの、どちらかというと模様を補助する役割をもつことが多いようです。

 

染める過程で使用される糊が、もち米を原料とした真糊(まのり)を使用しているものが上質な東京友禅とされています。

【関連記事】「鶴見染飾工芸」加賀友禅作家 鶴見晋史(つるみ・くにちか)さん

 

違いを見分けるのは難しい?

友禅にはそれぞれの特徴がありますが、現在ではどの友禅なのか判別することは難しいとされているようです。その理由は、大きく2点挙げられます。

 

安価で手に入る

近年では、友禅を模したデザインがインクジェットプリントされ、従来より安価に手に入る着物やアイテムが非常に多く流通しています。そのため、友禅の技術が実際に用いられたものを目にする機会自体が減っているのが現状です。

 

本物の友禅をそこまで見慣れていない場合、友禅そのものの違いを見分けることは難しくて当然といえるでしょう。

 

作家独自の技法

友禅作家が用いる技法は、三大友禅のそれぞれの枠を超えて特色が融合している場合があります。

京友禅の作家でも、すべての工程を分業せずにひとりで行う方もいれば、描く文様や技法は加賀友禅の特色をもっていても工房は京都にあるという作家もいます。

なお、このような友禅は「京加賀友禅」と位置付けられることもあるようです。

 

ですが、各地の友禅の特色をそのままに守り続けている工房や作家も存在します。

さらにそうした各地の友禅を学び、それをさまざまなものづくりに活かしていこうとする作家やデザイナーも数多く、日本の文化が思いがけないところにも息づいていることを感じさせます。

 

歴史ある伝統工芸品

三大友禅の種類と特徴について説明してきましたが、いかがでしたか。

 

近年では、プリントされたデザインが多く出回っています。デザインが豊富なうえに、安価で手に入れられるというメリットもあります。しかし、職人さんが1つひとつ丁寧に作っているのも手仕事からしか感じられない、ぬくもりや職人技がそこにはあります。

 

着物や帯などが難しい場合は、ネクタイやハンカチなど、気軽に手に入れられるものから手に取ってみてはいかがでしょうか。

 


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