結婚が決まったら、考えることはたくさん。

両親や職場への報告、式場探し、結婚指輪やドレス選び……。毎日がめまぐるしく過ぎていきます。

そんな準備期間によく耳にするのが、「結納(ゆいのう)」

なんとなく堅苦しいからといって、最近では両家顔合わせの食事会などにして結納を省いてしまう人も多いのでは?

結納を行うにしても、行わないにしても、結納とはどのようなものなのでしょうか。

きちんと知っておきたい風習の一つではあります。

 

■結納の起源

結納の起源は、およそ1,400年前の仁徳天皇の時代までさかのぼります。

仁徳天皇の皇太子(後の履中天皇)は羽田矢代宿禰(はたのやしすくね)の娘、黒媛(くろひめ)を好きになり、妃に迎えようとして納采(のうさい)を行ったと『日本書記』には記されています。この宮中儀礼のことを「納采の儀」として受け継がれています。

納采」とは、結婚の話がまとまると男親が女親に挨拶にうかがい、贈り物をすること。これが、現在の結納の起源にあたります。

 

平安時代に貴族が行っていた婚礼儀式に中国の婚礼制度がとり入れられ、室町時代には武家や公家に広がり、小笠原流や伊勢流などに体系化されていきました。やがて江戸時代に入ると、裕福な商家では結納・結婚式の行事が行われるようになりました。庶民の間でも広く行われるようになったのは、江戸時代末期から明治時代になってからとされています。

 

 

■気になる結納品の中身

結納品には、円満・長寿・子宝など繁栄を象徴するさまざまな縁起物が揃えられています。また結納品には、それぞれ願いや意味が込められています。

地域によってさまざまな違いが見られますが、今回は関東式の一般的な9品目をご紹介します。

 

①長熨斗(ながのし)

「のしあわび」とも呼ばれ、もともとはあわびを薄く伸ばしたものでした。古来よりあわびは、不老長寿を象徴する貴重な食材。贈りものへの祝意も込められています。

 

②寿惠廣(すえひろ)

一対になった純白の扇子のこと。白は純潔・潔白・純真無垢を示し、を広げた形は繁栄を象徴する末広がりであることから、家族が末広がりに栄えてほしいとの願いが込められています。

 

友白髪(ともしらが)

白い麻紐や麻糸のこと。夫婦がともに白髪になるまで添い遂げられるようにと、夫婦円満や長寿を願う意味があります。

 

④子生婦(こんぶ)

昆布のことで、「よろこぶ」の意味が込められています。昆布は生命力が強いことから、子孫繁栄を願って贈られます。昆布も奇数を包みます。

 

⑤寿留女(するめ)

スルメのことです。日持ちがし、噛めば噛むほど味がでることから、夫婦の末永い縁を願う意味があります。

 

⑥勝男節(かつおぶし)

鰹節のこと。武家の保存食や非常食として常備されていたもので、武運長久の縁起物としての意味があります。

 

⑦家内喜多留(やなぎだる)

もとは本来の柳の樽にいれた祝い酒のこと、現代では「酒料」として現金を包みます。

 

⑧金宝包(きんぽうづつみ)

「結納金」のこと。男性側からは、「小袖料(こそでりょう)」女性側から結納金を贈る場合は、「御袴料(おんはかまりょう)」という名前で贈られます。

 

⑨目録(もくろく)

結納品の品目数を記したものです。結納品の明細書のようなもので、関東式では結納品のひとつに数えます。

 

以上が、関東式の一般的な結納品です。

いずれも夫婦の幸せと繁栄を願った品が多く、おめでたい漢字をあてて、縁起の良い意味が込められています。関東式で正式なのは9品目ですが、「家内喜多留(やなぎだる)」と「勝男節(かつおぶし)」を省いて7品目とすることもあります。

さらに省略する場合は、「寿留女(するめ)」と「子生婦(こんぶ)」を省いて5品目とします。

■結納に使われる水引

結納には、「淡路結び」の水引のかかったご祝儀袋を選びます。淡路結びはいちど結ぶと解くのが難しいことから、「一生に一度」という意味があり、縁起物の鮑に形が似ていることからも末永く良いお付き合いを、という願いが込められたお祝いに適している結び方です。

結納の起源や、結納品にこめられた想いを知ることで、よりこれから家族になるご両家の絆が深まりそうですね。

 

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