世界でも高い評価を得ており、さまざまなアイテムに使われている美濃和紙。

 

美濃和紙の歴史は古く、日本が誇る伝統工芸品です。また、美濃和紙のなかにもいくつかの種類があり、製造方法・技法が異なります。

 

この記事では、美濃和紙の歴史から特徴、美濃和紙の種類について詳しく紹介します。

 

美濃和紙について

美濃和紙は、岐阜県美濃市で作られている和紙のことをいいます。

和紙はいくつもの産地が存在しますが、そのなかでも美濃和紙は三大和紙と呼ばれるほど有名な和紙のひとつです。

 

和紙は、楮(こうぞ)や三椏(みつまた)など厳選した植物を原料とし、1つひとつ手作業で作られています。

美濃和紙は柔らかく繊細な触り心地で、強度と耐久性があるのが特徴です。

 

美濃和紙の歴史はおよそ1300年前から始まったといわれており、奈良時代の702年に使われたとされている戸籍用紙は、奈良県の正倉院に保管されています。それほど美濃和紙の強度や品質は高く、長期間保管することが可能です。

和紙は製造方法によって1000年もつといわれており、その特徴を活かして障子紙や襖に使われていたようです。

 

1985年には国の伝統的工芸品にも指定され、日本が誇る代表的な伝統工芸品となりました。

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美濃和紙歴史

美濃和紙の歴史はおよそ1300年と古く、日本最古の和紙といわれています。

諸説ありますが、和紙の始まりは610年に朝鮮より来た憎が、紙の作り方を伝えたのではないかといわれています。そこから日本独自の製造方法が加えられていき、和紙が誕生していったようです。

 

平安時代に入り、和紙の製造は盛んになっていきました。このころは、和紙が貴重なものでもあったため、貴族など限られた階級の人しか使うことができませんでした。

 

室町時代に入り、やがて全国に和紙が知れ渡ることになります。美濃国守護であった土岐氏は、町を盛り上げようと六斉市(ろくさいいち)と呼ばれる紙の市を開催しました。その後、土岐氏と商人たちの働きにより、和紙が全国に広がっていきました。

 

江戸時代に入ると、和紙が大量に生産され庶民の間でも広がっていきました。和紙は、浮世絵といった娯楽品や日用品として、幅広く使われるようになっていったようです。このころ、美濃で作られた障子紙は最高級とされ、「美濃判」と呼ばれる規格ができました。

 

明治時代に入り、江戸時代以上に美濃和紙の生産量が増え、海外への輸出の機会も増えていきました。この海外への進出をきっかけに、美濃和紙が世界でも知られるようになります。このころには海外から洋紙が入ってきて、洋紙を使った日用品も増えていったようです。

 

当時和紙は日用品などに使われていましたが、戦争が始まったころ、爆薬包装紙などの軍用品としても活用されていました。

そして、戦後1969年に重要無形文化財、1985年には伝統的工芸品に指定されました。

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美濃和紙は3種類ある

美濃和紙には、製造方法・技法が大きく分けて「本美濃紙」「本美濃手漉き和紙」「美濃機械漉き和紙」の3種類あります。重要無形文化財や伝統的工芸品に指定されていることもあり、美濃和紙の基準はとても厳しくなっています。

 

・本美濃紙(ほんみのし)

本美濃紙は、国の重要無形文化財とユネスコ無形文化遺産に指定されています。本美濃紙保存会員が、定められた基準で作った美濃和紙のみが、本美濃紙と名乗ることができます。

原料は、大子那須楮(白皮)のみで作られています。そして、伝統的な製法と製紙用具を使用していること。最後に、伝統的な本美濃紙の色沢、地合等の特質を保持することが基準となります。

 

具体的には、以下の要件を満たしたものが本美濃紙と呼ばれます。

一、原料はこうぞのみであること。

二、伝統的な製法と製紙用具によること。

  1. 白皮作業を行い、煮熟には草木灰またはソーダ灰を使用すること。
  2. 薬品漂白は行わず、填(てん)料を紙料に添加しないこと。
  3. 叩解は、手打ちまたはこれに準じた方法で行うこと。
  4. 抄造は、「ねり」にとろろあおいを用い、「かぎつけ」または「そぎつけ」の竹簀による流漉きであること。または「そぎつけ」の竹簀による流漉きであること。
  5. 板干しによる乾燥であること。

三、伝統的な本美濃紙の色沢、地合等の特質を保持すること。

 

【参考】本美濃紙とは|美濃市

 

美濃手漉き和紙(みのてすき和紙)

美濃手漉き和紙は、国の伝統的工芸品に指定されています。そのため、美濃手すき和紙協同組合員が定められた基準で作った美濃和紙のみが、美濃手漉き和紙と名乗ることができます。

美濃市で生産され、国内産の楮・三 椏・雁皮(がんぴ)などを原料として、流し漉きにより作られています。

 

美濃機械漉き和紙(みのきかいすきわし)

美濃機械漉き和紙はほかの2種類と異なり、美濃市、関市、岐阜市で生産されています。使われる原料の幅も広く、木材パルプや一部には非木材繊維(楮・三椏・雁皮・マニラ麻・亜麻等)を使って作っています。そして、美濃和紙ブランド協同組合員がこれらの条件と、手漉き和紙に近い光沢や風合いなどを出せる抄紙機で製造したものを「美濃機械漉き和紙」と名乗ることができます。

 

美濃和紙についてもっと知る

美濃和紙は歴史が古く日本が誇る伝統的工芸品ですが、意外と知らないことが多いかもしれません。

全国各地には、美濃和紙の歴史を詳しく知ることができる、博物館がいくつか存在します。

生産地として有名な美濃市では、美濃和紙の里会館で歴史などを知ることができます。さらに、毎年秋になると美濃和紙あかりアート館で「美濃和紙あかりアート展」といったイベントが開催されます。一般の人から賞が選ばれるため、自分で作って応募したり、アート作品を見て楽しんだりすることができます。

ほかには、東京都北区に紙の博物館があります。改めて和紙の歴史や、洋紙との違いについて知ることができるでしょう。

 

実際に訪問するのが難しい方は、和紙に関連するアイテムなどを手にしてみるのもいいかもしれません。手で触ってみることで、魅力や感じ方が変わってくるはずです。

▷「美濃和紙あかりアート展」の開催情報については、美濃和紙あかりアート館Webサイトをご確認ください。

 

美濃和紙をもっと身近に

美濃和紙の歴史と特徴について説明してきましたが、いかがでしたか。

日本が誇る伝統工芸品であり、古くから私たちの生活を支えてくれている美濃和紙。

美濃和紙といっても、製造方法によって特徴も異なります。美濃和紙についてより深く知りたいなと思った方は、ぜひ博物館へ訪問したり美濃和紙を触ったりしてみてはいかがでしょう。美濃和紙を以前よりも身近に感じられるかもしれません。

 

【関連記事】なぜ和紙はユネスコ無形文化遺産に登録されたの?


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