古くから木造建築に用いられてきた「組子細工」。

 

緻密で繊細な模様は、釘を使わずに木を組み合わせることで生み出されます。

この記事では、組子細工の特徴から歴史、組子の文様に込められた意味について詳しく紹介します。

 

繊細な技術「組子細工」

組子細工(くみこざいく)とは、釘を使わずに木だけを組み合わせてつくる技術のことです。

材料となる木材を細かく割り、のこぎりや鉋(かんな)、のみを使い、サイズや穴などを調整していきます。

ごくわずかでもズレなどがおきると組み合わせられないことから0.1mmのズレも許されず、職人の繊細で細かい技術によって仕上げられています。

 

そんな組子細工の種類は、200種類以上あるといわれ、そのすべてが木だけでつくられています。

 

最古の木造建築を支える組子細工

組子細工の歴史は古く、およそ1400年前の飛鳥時代までさかのぼります。

現存する世界最古の木造建築されている法隆寺の金堂や五重塔の手すりには、「卍崩し組子(まんじくずしくみこ)」が施されています。卍崩し組子はその名のとおり、卍を崩したような文様です。

 

平安時代に入ると、貴族の寝殿造の屋敷に襖(ふすま)や障子(しょうじ)といった建具として取り入れられるようになりました。

 

室町時代に入ると、書院造(しょいんづくり)が広がります。建具装飾が発展するとともに、障子の桟(さん)や襖などには組子細工が取り入れられ、組子の技術・装飾が進歩していきました。

 

江戸時代に入ると木造建築の需要が高まり、組子細工の技術が大きく発展していきます。

木材のみを使用して作られる組子細工は、木造建築に最適だったようです。

また、このころには多くの職人たちがいくつもの種類の模様を作り出し、組子細工が活発化していったようです。そして現在では、200種類以上の組子の文様があるといわれています。

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組子細工に見られる代表的な文様

冒頭でも少し説明したとおり、組子細工の文様は200種類以上あります。ここでは、そのなかでも代表的な文様をいくつかご紹介します。

 

麻の葉(アサノハ)

麻の葉には、子供の健やかな成長を願う意味が込められています。成長が早くまっすぐ伸びる植物ということから、子どもの健やかな成長を願う意味合いが込められています。

また、三角形は古くから魔除けの意味が込められており、その集合体である麻の葉は「強い魔除けの意味」も込められて親しまれてきました。

 

胡麻(ゴマ)

胡麻は、胡麻の実を断面したときをモチーフにした文様で、健康や長寿を願うといった意味が込められています。

 

桜(サクラ)

桜は、日本を象徴する花をモチーフにした文様です。

昔は、桜でその年の穀物の実りを祝っていたことから、五穀豊穣(ごこくほうじょう)などの意味が込められています。

 

千本格子(センボンコウシ)

千本格子とは、細く無数の格子のマス目が並べられた文様です。格子のマス目からは魔物を見張り、魔除けの効果があるといわれています。また、細かく無数のマス目には、子孫繫栄の意味も込められています。

 

組子細工の作り方・製作工程

組子細工が完成するまでには、職人によるいくつもの工程によってつくられています。

具体的には、以下の製作工程によって仕上げられています。

 

  1. 材料となる、木材を用意する(檜や杉など)。
  2. パーツとなる、木材の選別をする。サイズ調整などの、切断や切り込み作業を行う。
  3. 用意したパーツ(地組)を組み立てる。
  4. 組み立てたパーツの、最後の仕上げ。ツヤを出すために表面を磨く。
  5. 完成したパーツを枠に組み込み完成。

 

繊細な職人の手仕事

現在では200種類以上もの文様があるといわれている組子細工は、多くの職人によって受け継がれてきました。緻密な文様は、繊細な職人技で仕上げられています。

 

誕生当初は建具の一部に使われていましたが、近年では日常のアイテムまで幅広く使われています。ウォールデコやコースターなど、伝統工芸品を日常で感じることができます。

組子細工を気軽に体験できる場所もあるため、ぜひ魅力や素晴らしさを肌で感じてみましょう。

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