お正月をはじめ日本の伝統行事や、着物や小物といったものまで、幅広い場面で目にすることの多い「縁起のよい和柄」。

そんな縁起のよい和柄は、吉祥文様とも呼ばれています。

 

いくつもの種類がある和柄1つひとつには、それぞれ由来や込められた意味も異なります。

 

この記事では、15種類の文様の特徴から込められた意味についてご紹介します。

 

1 七宝(しっぽう)

七宝は、均等にした大きさの円を4分の1ずつ重ねた文様です。

輪が四方に繋がっていることから四方(しほう)と発音され、いつしか七宝(しっぽう)と呼ばれるようになったといわれています。

この2つ以上の輪がかさなった文様を、輪違い紋と呼びます。

そして、輪違い紋のなかのひとつが七宝ということになります。

七宝には、「人との縁や繋がり」、「子孫繁栄」といった意味が込められています。

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2 麻の葉(あさのは)

麻の葉は、六角形が幾何学的にも繋がった文様です。

見た目が植物の大麻(おおあさ)に似ていることから、麻の葉と呼ばれるようになったといわれています。

大麻(おおあさ)は、4か月で 4m伸びるといわれており、成長が早いことから「子供がすくすくと育つように」という願いが込められています。

また、麻の葉には魔除けの意味も込められており、子どもに産着を着させる風習があったようです。

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3 市松(いちまつ)

チェック柄のような市松は、異なる色の正方形を交互に繋げた文様です。

江戸中期に入ると、佐野川市松という名の歌舞伎役者が着ていたことで大流行して以来、「市松模様」と呼ばれるようになったといわれています。

また、石畳に見えたことから、「石畳文」とも呼ばれていました。

廣田硝子

大正浪漫 冷茶 ‐市松‐

 

4 青海波(せいがいは)

青海波とは、扇形になったいくつもの波が並んだ文様です。

どこまでも連なる波からは、「幸せが未来永劫続き平和に暮らせるように」といった意味が込められています。

名前の由来は、雅楽(かがく)のなかにある舞曲「青海波」からきているといわれています。

青海波で舞をする際は、青海波の文様の衣装を身にまとっていたようです。

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5 唐草(からくさ)

唐草とは、ツルやクキがあらゆる方向に伸びているような文様です。

長く伸びたツルの文様には、「子孫繁栄」や「長寿」の意味が込められています。

唐草文様のイメージは、泥棒が背負っている印象があるかもしれません。

これは、泥棒が自宅へ盗みに入った際にどこにでも唐草の風呂敷があり、その風呂敷を使って盗んでいたからだといわれています。

 

6 亀甲(きっこう)

亀甲とは、亀の甲羅のような正六角形が繋がった文様です。

亀は長生きの生物であることから、亀甲には「長寿」の意味が込められています。

なお、亀甲から派生して「亀甲花菱」「毘沙門亀甲」「子持ち亀甲」など、さまざまな種類が存在します。

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7 鱗(うろこ)

とは、同じ大きさの三角形が整列しており、交互に配色された文様です。

三角形に繋がる姿は、魚や蛇の鱗に似ていることから、鱗と呼ばれるようになったといわれています。

この三角形には、「魔除け」や「厄除け」の意味が込められています。

 

8立涌(たてわく、たちわき)

立涌とは、蒸気のように立ち上がり、波状になった線が縦に連なっている文様です。

蒸気のように立ち上がる姿から、「運気上昇」などの意味が込められています。

また、立涌のなかには、立涌をベースにいくつもの種類が存在します。

波線の膨らんだ箇所に模様を描く「雲立涌(くもたてわく)」や、波を描いた「波立涌(なみたてわく)」などが挙げられます。

 

9 桜(さくら)

桜文様とは、その名のとおり桜の形をかたどった文様です。

日本の象徴である桜は、「物事のはじまり」を意味しているといわれています。

また、「繁栄」や「五穀豊穣」などの思いが込められています。

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10 籠目(かごめ)

籠目とは、竹籠の網目のように編み込まれた文様です。

六角形の星に見える籠目の文様には、「厄除け」などの意味が込められています。

 

11 矢絣(やがすり)

矢絣とは、矢の先端についた矢羽根をモチーフにしたような文様です。

日本では古くから、絣織物の文様として用いられてきました。

一度射った矢がまっすぐと飛ぶ姿からは、「出戻らない」などの意味があります。そのため、結婚した際に娘に矢絣文様の着物や小物を贈っていたといわれています。

近年では、卒業式の際に矢絣柄の袴を身につける人も多いようです。

 

12 菊(きく)

はその名のとおり、菊の花をモチーフにした文様です。

菊には、「延命長寿」や「邪気払い」など、さまざまな意味が込められています。

菊のなかにも、「菊水」や「菊尽くし」など、さまざまな種類が存在します。

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13 工字繋ぎ(こうじつなぎ)

工字繋ぎとは、「工」の文字を交互に並べた文様です。

同じパターンが永遠と続く様子からは、「不断長久」などの意味が込められています。

 

14 紗綾形(さやがた)

紗綾形とは、「卍(まんじ)」を斜めにして崩し、重ねていった文様です。

名前である紗綾形の紗綾とは、もともと絹織物の一種からきたといわれています。絹織物が作られ始めたころ、紗綾に卍を施した着物が流行したことでこの呼び名がついたようです。

工字繋ぎと同じように、同じパターンが永遠と続くことから「不断長久」の意味が込められており、長寿や家の繁栄などを表しています。

 

15 鶴(つる)

はその名のとおり、鳥の名前からきている文様です。

鶴は生涯、夫婦で一生を過ごすことから、夫婦円満の象徴であるといわれています。

また、「鶴は千年」などの言葉があり、長寿を表している和柄でもあります。

和柄の文様は、植物や幾何学なものが浸透しているイメージがありますが、動物の文様もいくつか存在します。

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さいごに

日本にはいくつもの和柄が存在しますが、シーンによって使いたい文様も異なります。

なんとなくでも意味を把握しておくことで、柄を選ぶ際にも役立つでしょう。

 

現代では、着物や和小物に限らず、和柄を用いたアイテムも多く見られるようになりました。

お財布やインテリア小物など、気軽に手に取れるものから、吉祥文様に触れてみるのはいかがでしょうか。

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