天然木を用いたセイロや弁当箱など、昔から多くの人に親しまれている「曲げわっぱ」。

曲げわっぱは、木のもつぬくもりや見た目の美しさなど、さまざまな特徴と魅力が詰まっています。そんな曲げわっぱは、日常にも取り入れやすいのが嬉しいポイントです。

 

この記事では、曲げわっぱの魅力から歴史、手入れ方法について詳しくご紹介します。

 

曲げわっぱとは

曲げわっぱとは、ヒノキやスギなどの木の板を用いてつくられたもの。

薄い板に仕上げた木材を曲線に曲げて楕円型や四角形にし、木と木を繋ぎ止める箇所も、樺や桜の木の皮が用いられています。

 

そんな曲げわっぱですが、一般的にお弁当箱のイメージが強くもたれています。そこには、お弁当箱に曲げわっぱが使われる特徴と魅力が詰まっています。

 

ご飯がおいしく食べられる

曲げわっぱに用いられる木材には、吸湿性が高いという特徴があります。そのため、「木が呼吸している」とたとえられることもあるように、湿気が多い時期は水分を吸い込み、乾燥する時期には水分を出す作用があります。

そうすることで、お米が水っぽくなったり、固くなったりすることなく、おいしく食べることができます。

 

軽くて丈夫

曲げわっぱの素材には薄い木を用いているため、ステンレスやプラスチックのお弁当箱と比べ、軽いのが特徴です。また、素材の木には強度があるため、長く使うことができます。そのため、持ち運びしやすくお昼に最適なお弁当箱です。

 

殺菌・抗菌効果の期待

曲げわっぱに用いられる木材は吸湿性が高いだけではなく、殺菌効果も期待できます。中でもひのきや杉には殺菌効果があるといわれているため、暑い時期でもおかずが傷む心配も少ないでしょう。

 

曲げわっぱの歴史

いつから使われていたのかは明確ではありませんが、平安時代の遺跡から曲げわっぱが発見され、古くから使われていることがうかがえます。

一説によると、木こりが杉の木を曲げてうつわとして使っていたのが、始まりともいわれています。

 

そんな曲げわっぱが、日常で使われるようになったのは藩政時代です。当時は、その日のご飯を食べるのが困難な家庭が多く存在しました。その様子を見た大館城の主であった佐竹西家(さたけにしいえ)が、内職として曲げわっぱを作ることを推奨したといわれています。

そうして、江戸時代には曲げわっぱ作りが活発化してゆき、現在にも受け継がれる技術・伝統工芸品となりました。

 

曲げわっぱの種類と特徴、選び方のポイント

曲げわっぱは、大きく3種類に分けられます。ご自身の好みにあった曲げわっぱを選ぶ際に押さえたいポイントとして、種類ごとの特徴やメリット・デメリットを理解しましょう。

 

無塗装(白木)曲げわっぱ

最もシンプルな作りな曲げわっぱが、塗装や加工を施していない白木を使ったもの。無塗装(白木)曲げわっぱであれば、木のもつあたたかさや、木の香りを楽しむことができます。

 

メリット デメリット
  • 木の香り、木目の美しさをたのしめる
  • 木材がもつ抗菌作用が期待できる
  • 時間が経過しても、ごはんをおいしく食べられる
  • お手入れの際、洗剤が使えない
  • 湿気に弱いため、カビに注意が必要
  • 揚げものをそのまま入れてしまうと、油が木に染みる可能性がある

 

漆塗り曲げわっぱ

曲げわっぱには、漆塗りを施したものもあります。漆を塗ることで艶のある見た目から抗菌作用、丈夫さといった魅力が詰まっています。

お椀のように色のついた漆を塗り木目が見えないものを「本塗り」、透明な漆を表面に塗り木目が見えるものを「拭き塗り」といいます。

丈夫で長く使うことができるものの、手間のかかるぶん高価なものが多い傾向があります。

ウレタン塗装曲げわっぱ

ウレタン塗装の曲げわっぱは、白木にウレタン樹脂を塗っており、見た目は無塗装のものに近いです。漆のように色はつかないため、木目の美しさ、食器洗剤が使えるという魅力があります。

 

曲げわっぱのお手入れ方法・注意したいポイント

曲げわっぱは、種類によってお手入れ方法が異なります。

正しく保管することで、より長く使うことができます。ここでは、種類に分けてお手入れ方法をご紹介します。

 

無塗装曲げわっぱ

曲げわっぱは、塗装などはせずに木のみで繊細に作られています。そのため、食器用洗剤も使わずにお湯でやさしくスポンジ洗いします。汚れがすごいときは、短時間お湯でつけ置きなどして落とします。そのあとは、しっかりと水分をきって乾燥させます。このときに、軽く布巾でふいてあげるのもよいでしょう。

何も加工していない木のため、しっかりと乾燥させないとカビが繁殖してしまう危険性もあります。

 

漆塗り曲げわっぱ

漆塗りが施された曲げわっぱは、食器用洗剤を使うことが可能です。ある程度水で汚れを落としたあとは、スポンジで洗い、水で流します。布巾などを使い水気をとり、白木の曲げわっぱ同様にしっかりと乾燥させます。

ほかの食器と一緒に洗えるため、気軽にお手入れしやすいのも特徴です。

 

ウレタン曲げわっぱ

基本的に漆塗りと同様に、食器用洗剤を使って洗うことができます。スポンジで汚れが落とせたら、布巾でふいてしっかりと乾燥させます。こちらも、気軽にお手入れしやすいのが特徴です。

 

受け継がれる伝統技術

江戸時代から受け継がれてきた、曲げわっぱの技術。

その技術が高く評価され、秋田県で生産されている大館曲げわっぱが国の伝統的工芸品に指定されました。

そんな曲げわっぱは正しくお手入れすることで、長く使い続けることができます。

ご自身に合ったものを選び、日常に伝統工芸品を取り入れてみてはいかがでしょうか。

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