節句と関わる陰陽五行説。知っておきたい基礎知識から法則
日ごろ漢方薬を飲んでいる方のなかには、ひょっとすると「陰陽五行説」という単語を聞いたことがあるかもしれません。
そんな陰陽五行ですが、じつは日本の節句にも大きく関わっています。
この記事では、陰陽五行説の基礎となる陰陽と五行の解説、五行の法則について詳しくご紹介します。
もくじ
陰陽五行説とは|まずは基礎をわかりやすく解説
mou mou(ムームー)
陰陽五行説とは、「陰陽説」と「五行説」の2つから成り立っています。では、具体的に陰陽説と五行説とはどのようなものなのでしょうか。
陰陽論とは
陰陽論とは、世のなかに存在するすべてのものには、陰と陽の相反する2つの内容で捉える考え方をいいます。
具体的には、積極的・動的な性質を「陽」、消極的、静的な性質のことを「陰」としています。
陰と陽、それぞれが互いに依存・対立しながら絶えず変化し続けています。
陰陽論において、陰と陽の相互作用は物事の発生・変化・発展の原動力であると考えられています。
また、陰陽に優劣はなく、どちらもなくてはならない存在であり、そのバランスが大切だとされています。
陰陽太極図
先ほども説明したように、陰陽は互いの要素をバランスよく保ち共存し合っています。その陰陽のバランスを表しているのが、陰陽太極図です。白と黒のシンボルで、白は陽を表し、黒は陰を表しています。
陰陽は必ずしもバランスが均等ではなく、環境や状況によってバランスが崩れることもあります。どちらかに偏るのではなく、互いが調和しバランスの取れた状態が理想であると考えられています。
五行説とは
五行説とは、地球上に存在するすべての生物(万物)は、この5つの元素で成り立っており、互いに影響を与えあいながら変化し、また循環しているという思想のことをいいます。
五行説の5つの元素
では、5つの元素五行説とは具体的にどのようなものなのでしょうか。
ここでは、それぞれの特徴を見ていきましょう。
木
木は春と青色に分類され、東の方角を指しています。草木のようにどんどんと伸びる姿から、成長や上昇といった性質があります。
水
水は冬と黒色に分類され、北の方角を指しています。名前のとおり水は、すべてのものをうるおし水に流す性質があります。
火
火は夏と赤色に分類され、南の方角を指しています。火は炎のように燃え上がることから、上昇や情熱といった性質をもちます。
土
土は土用と金に分類され、中央の方角を指しています。土は生物や植物を育み、豊かさをもたらすといった性質をもっています。
金
金は秋と白に分類され、西の方角を指しています。鉱石や鉱物といったかたいものが変化するといった性質があります。
陰陽の働き|具体例とともに解説
「陰陽とは」でもすこし説明しましたが、陰と陽はそれぞれ要素が異なります。
ここでは、どのような働きがあるのかをご紹介します。
陰陽の具体例
ここでは、陰陽の具体例を表でご紹介します。
図のように、月は太陽、冷は暖など、互いに反対の働きがあります。
「陰陽論とは」内でも解説したように、陰陽論において、陰と陽の相互作用は物事の発生・変化・発展の原動力であると考えられています。また、陰陽に優劣はなく、どちらもなくてはならない存在であり、そのバランスが大切だとされています。
陰陽の関係には大きく4つの性質に分けられる
陰陽の関係が成り立つには、大きく分けて4つの性質が存在します。
ここでは、それぞれの性質についてご紹介します。
対立
「月」と「太陽」などのように、自然界に存在するすべてのものは対立した2つの面が存在しています。
ただし、「陰」と「陽」は、常に割合を変えながら絶えず変化を繰り返しています。
たとえば、昼は陽で夜は陰ですが、真夜中から夜が明けるまでは「陰の中の陽」といったように、絶えず動いていることがわかります。
互根
「陰陽」はお互いに依存しており、どちらか一方だけでは存在することができません。
「陰」がなければ「陽」が存在しないように、「陽」がなければ「陰」が存在することもありません。
具体例を挙げると、天がなければ地はなく、上がなければ下もないことになります。
このように、陰陽それぞれが別々に離れて存在することはできません。
消長
陰陽は常にバランスが均等なのではなく、その時々で陰陽バランスが変わってきます。夏至になると陽の力が高まると陰の力が弱まるように、そのときどきでどちらかが盛んになると、もう一方は衰えていくといった関係を絶えず繰り返していきます。
転化
消長とは異なり、量ではなく質(性質)の変化を表しています。転化は陰から陽へ、陽から陰へと要素が変わると考えられています。季節で表すと、夏至の陽から冬至の陰へと消長しながら変わることです。
五行説の働き|押さえておきたい法則とは
五行説の働きには、それぞれ法則があると考えられています。ここでは、五行の法則と具体例についてご紹介します。
五行には法則がある
すでに解説していますが、五行には元素(要素)は「木」「火」「土」「金」「水」のほかに、「相生」(そうせい)「相剋」(そうこく)「相乗」(そうじょう)「相侮」(そうぶ)の3つの法則があります。
- 相生:互いを助け合ったり、足りないところを補い合ったりする働き。
- 相克:物事の成長や機能に対して抑制する働き
- 相侮:弱いものが強くなることで、強いものを抑制する働き。
五行の法則が当てはまる具体例
陰陽五行説では、自然界のあらゆるものが「陰」「陽」から成り立つと考え、自然の変化や関係性を「木・火・土・金・水」の5つの要素に分類しています。
ここでは、わたしたち日本人の暮らしにある、五行の法則が当てはまるものをいくつか紹介します。
五臓
肝(かん)・心(しん)・脾(ひ)・肺(はい)・腎(じん)の五臓は、それぞれ五行説の「木・火・土・金・水」の特性を備えており、互いのバランスを保っています。
具体的には、それぞれ「木=肝、火=心、土=脾、金=肺、水=腎」という対応した関係のもとで成り立っているといえます。
五節句
日本には、節句と呼ばれる行事があります。そのなかでも、五節句と呼ばれる、「人日の節句」「桃の節句」「上巳の節句」「端午の節句」「七夕の節句」「菊の節句」は陰陽五行説から由来しているといわれています。
五味
五味とはその名のとおり、五行の法則にのっとり5つの味を表しています。それぞれ、木は「酸味」、火は「苦味」、土は「甘味」、金は「辛味」、水は「塩味」と当てはめることができます。
さいごに
漢方などにも用いられており、知れば知るほど奥が深い陰陽五行。
「陰を転じて陽となる」「陰極まれば陽となる」などの言葉もあるようにり、世のなかに存在する万物は、陰と陽で成り立っていると考えられています。
この記事を参考に、日常生活のなかで陰陽バランスや五行の法則について、ぜひ意識してみてくださいね。
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