燗酒 (かんざけ)と一言に言っても、温度に敏感な特性を持つ日本酒は、5℃違うだけで味わいがガラリと変わります。なぜ温度が変わると味が変わるのか、そして燗酒にしておいしい日本酒の探し方をご紹介。温かいものがおいしくなるこれからの季節。料理に合わせやすい燗酒 (かんざけ)を相棒に、すこしずつ深まる秋をたのしみましょう。

温度によって味わいがまったく異なる日本酒

four assorted-labeled bottles beside bowls

世界各国さまざまな種類のお酒がありますが、その中でも日本酒は温度帯によって味わいや楽しみかたが変わる、めずらしいお酒です。

肌寒い季節になると飲みたくなる「お燗」のお酒はコクも深みも冷酒とは感じかたが異なります。それは温めることにより雑味や苦味が抑えられ、日本酒の成分であるアミノ酸や乳酸などが増幅し、しっかりとお米のうまみを感じることができるため。対して、冷やした状態のお酒はスッキリとした口当たりで、吟醸酒などの華やかな香りを楽しむ際に向いています。

おいしい燗酒に欠かせないポイント①酸味

日本酒に含まれる酸味は主に有機酸(ゆうきさん)と呼ばれるもので、乳酸、コハク酸、リンゴ酸からきています。酸味と聞くと、どちらかと言えば酸っぱいイメージがあるかもしれません。ですが、日本酒における酸味とは、キレの良さを意味します。

酸味が強いほどキリッとして濃厚、酸味が和らぐと甘く淡麗に感じるとされています。

ある研究結果によると、10℃の日本酒は「すっきりとした酸味」が感じられます。37~43℃では「まろやかできれいな酸味」が、また50℃では「酸味が強まり味のバランスが悪くなる」と感じられたと出ています。

これは温度により酸味の強さが変わるということです。有機酸の多いお酒の場合、37~43℃でおいしさが高まるといえるでしょう。

おいしい燗酒に欠かせないポイント②うまみ・コク

日本酒のうまみ成分は、主にアラニンやアルギニン、グリシンといったアミノ酸が関係しています。先ほどの酸味と同じく、こちらも温度の違いで味わいが変化していきます。

20℃と43℃の日本酒を飲み比べてみたところ、常温のものは苦味や渋みが若干感じられましたが、43℃の日本酒は苦味や渋みが抑えられ、やわらかな口当たりに感じられたというリサーチ結果もあるそう。つまり、うまみも酸味と同様に、人肌燗~上燗の間の温度がとくにおいしさを感じやすいといえます。

あなた好みの燗酒を見つけてみよう

two white and blue labeled cans

うまみや酸味の強い日本酒は、アミノ酸や有機酸の入ってる数値を表した「酸度」と「アミノ酸度」で見分けることができます。

一般的な数値は1.0~2.0の間で、数値が低いと有機酸やアミノ酸の少ない軽いお酒に、数値が高いと重いお酒になります。1.5以下の数値はすっきり淡麗、それ以上はコクの強い濃醇なお酒の目安になります。

また、「造り」でも味わいは変化していきます。酒母を手作りした「生(き)もと造り」、そこからさらに工程を省略した「山廃(やまはい)造り」は、天然の乳酸菌を使って日本酒を造るため、有機酸やアミノ酸を多く含んでいます。

コク深くお米の旨みをしっかりと引き出しているため、温めて飲むのにぴったりのお酒といえるでしょう。

しかし、酸度やアミノ酸度が高いお酒を温めて飲んでも、ほかの数値とのバランスが悪いとあまり旨みを感じられないという場合もあるので注意が必要です。

お酒のラベルに記載されている推奨された飲みかたに従って飲んだり、居酒屋や酒屋ではスタッフさんに相談し、好みのお酒を選ぶのも楽しいかもしれません。

ぜひ、さまざまな種類の日本酒を試して、好みのお酒を探してみてください。

SPECIAL