日本の伝統的な色の中には、古来より長きにわたって使われてきたものや、時代の流行にのって洒落を込めて新たに付けられたものなど、日本人の感性が息づいた名前が数多く存在しています。

「ジャパンブルー」ともいわれる藍染めの色名をとってみても、染め回数により生じる藍の濃淡それぞれに名前が付けられ、各段階の色が繊細に区別されていることで有名です。

 

しかし、日本の色を知るときに躓いてしまうのが色の「読み方」

普段使わない漢字の組み合わせ、聞き慣れない不思議な読み方など、古くからある日本の色名は身近でないぶん読みにくく覚えにくいものも多数あることでしょう。

そこで、比較的有名と思われる日本の伝統色の中でも、なかなか読み方が難しそうな色をピックアップし2回の記事に分けて紹介します!皆さんはいくつの色名をご存知でしょうか?

 

これを機に、ちょっと難しい色名の読み方を覚えて身の回りで使われていないかぜひ探してみてください。折々にその色を見つけ、その名前を口に出してみれば、日本の心にそっと触れることができるかもしれません。

 

≪躑躅色≫

明るい赤紫の色。「つつじいろ」です。

花の名前を知っていれば読めますが、初見ではツツジの花を想像しにくい漢字ですね。

平安時代の衣の襲(かさね)の色目にも4月の配色として躑躅の色目があり、人気度が高かったことがうかがえます。

 

 

 

≪紅絹色≫

鮮やかな黄色がかった紅色。「もみいろ」と読みます。

色を染める際、黄色い梔子(くちなし)や鬱金(うこん)の下染めに紅花(べにばな)で上染めして仕上げます。その紅花から黄色い汁が出なくなるまで、花弁を樽の水にもみ出したことから、この名前がつきました。

漢字と読みが全くつながらないのは、染めの動作が由来となったためなのですね。

 

 

 

≪承和色≫

初めて読んだ方で色のイメージがつく方はいらっしゃるでしょうか?

こちらは少しくすんだ黄菊の色、その名も「そがいろ」です。

平安京に都を移した桓武天皇の孫、第五十四代仁明天皇に由来します。

大変聡明な仁明天皇が学問と共に愛されたのが黄菊で、いたるところに植えられ衣装も黄菊色を御召しになったため宮中でもこの色が大流行。この仁明天皇在位の年号が「承和(じょうわ)」で、この音がだんだんと変化し、「承和菊(そがきく)」「承和色(そがいろ)」となったとされます。

 

 

 

≪朱華色≫

白みを帯びた淡い紅色です。こちらは「はねずいろ」。

そのまま読むと朱色の花。しかし古代の人々が愛でていた唐棣花(はねず)という花は、現在ではどのような花であったか定かではなく、春から夏のはじめにかけて咲く庭梅の古名とも、庭桜とも、あるいは安石榴(ざくろ)の花をさすともいわれています。

色があせやすいことから、複雑な恋心などと重ねて移ろいやすさの枕詞としても使われました。

 

 

 

≪褐色≫

黒い紫みの青。かっしょくではなく「かちいろ」と読む色です。

藍を濃く染めるために布をよく搗く(つく)ことを搗ち(かち)といい、江戸時代には搗染(かちぞめ)が転じた「かちんいろ」や「かち」という呼び名が色名として使われます。

褐の字は粗い布や衣服を指し、作業名と音が合わさって「褐色」となったようです。

明治時代、日露戦争のころになると、武具の染色や軍服の染色になぞらえ「勝」の字にあてて縁起を担ぎ「かついろ」、また「軍勝色(ぐんかちいろ)」とも呼ばれました。

 

 

 

 

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